2018年10月23日(火)

感動を生む小売りのイノベーションを

2018/4/15 23:22
保存
共有
印刷
その他

2018年2月期の小売り大手の業績は、セブン&アイ・ホールディングス高島屋など増収が相次いだ。だが、訪日客による押し上げが目立ち、国内消費の力強さが戻ってきたとはいえない。

消費を喚起し、小売業が成長するには肝心のイノベーションが欠かせない。

イノベーションはITやバイオなど最先端技術の革新だけを指すのではない。生活スタイルを変革する商品や売り方もイノべーションだ。ネット通販は時間や場所の制約なく、ほしいものを買えるようにした。コンビニエンスストアも顧客のほしいものを聞いて自宅に届けるなど売り方を進化させ、高齢者の暮らしに溶け込んだ。

では商品の魅力はどうか。過去には、セブンの品質にこだわったいれたてコーヒーやユニクロの機能性肌着「エアリズム」が生活スタイルや消費を大きく変えた。しかし、最近はこうした例があまりみられない。

自社ブランドで商品を売っている企業も多くが既存品の手直しや流行の後追いにとどまり、消費者に感動を与えたとはいいがたい。

イノベーションを起こすために必要な視点は大きく3つある。

第1に、徹底して消費者の目線に立つことだ。米アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏は自身が最も厳しい消費者として簡単な操作方法を開発者に求めた。画面を指で感覚的に操作するiPhoneを生み出し、スマートフォンの時代を開いた。

第2に、消費者調査の結果に頼り過ぎないことだ。顧客の属性や購買動向、位置情報など、あらゆるデータが入手可能になったが、調査結果の分析だけでは、店を訪れた時に驚きを与える商品は生まれない。モノや情報があふれ、消費者自身が何がほしいのか分からなくなっているからだ。

第3に、商品づくりの段階から社外との連携を深めることだ。めまぐるしく変わる消費者ニーズを追い続けるのは簡単ではない。異業種を含め社外の知恵や人材を積極的に取り入れることが大切だ。

いつの時代もヒット商品を生み出し、生活スタイルを変えてきたのは、消費者がイメージできない未来の暮らしをカタチにする力である。価格戦略や奇をてらったマーケティングではない。

人々の感動を呼び覚ますモノがあってこそ、財布のひもも緩むだろう。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報