2018年11月18日(日)

米国のTPP復帰を粘り強く促せ

2018/4/13 23:34
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トランプ米大統領が米通商代表部(USTR)に対し、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰に向けた条件を検討するよう指示した。その真意には疑念も残るが、日本を含む加盟11カ国で米国の参加を粘り強く促したい。

トランプ氏は1月、スイスで開いた世界経済フォーラムの年次総会でも、条件つきでTPPに復帰する意向を表明した。加盟国への輸出で不利な競争を迫られる農業団体や産業界の不満に配慮した面が大きい。

だが具体的な検討作業に入らず、棚ざらしにしてきたようにみえる。それどころか鉄鋼やアルミニウムの輸入制限、中国の知的財産権侵害に対する制裁措置を相次いで発動し、保護貿易への傾斜を強めてきた経緯がある。

今度は農業が盛んな州の議員や知事との会談で、TPPへの復帰に言及した。11月の中間選挙に向けた支持基盤固めという印象は拭えない。

それでも米国の復帰を促す意味は大きい。新協定に署名した加盟11カ国の国内総生産(GDP)は世界全体の1割以上を占めるが、米国が参加すれば4割程度に達する。自由度の高い貿易・投資協定のモデルとされるTPPの価値が増すのは間違いない。

成長著しいアジア太平洋地域に公正で透明な経済ルールを定着させ、中国の国家資本主義の拡散を封じるためにも、米国の参加は欠かせない。それは米国自身の国益にも資するのではないか。

米国がTPPへの復帰に本腰を入れたとしても、再交渉のハードルは高いといわざるを得ない。トランプ氏はツイッターで、日本などの加盟国が貿易面で米国に打撃を与えてきたと批判し、もっと有利な条件に改定した場合に限って参加すると言明した。

しかし加盟国はぎりぎりの交渉を重ねた揚げ句、ようやく新協定の署名にこぎ着けたばかりだ。TPPの根幹にかかわる見直しに消極的なのも当然だろう。

米韓の自由貿易協定(FTA)や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でみせたように、トランプ氏が「米国第一」の要求をあからさまに突きつけても、受け入れられるわけではない。

安倍晋三首相は17~18日、トランプ氏と米国で会談する。TPPの原則を曲げず、加盟国と米国が折り合える道はないか。その突破口を開く協議に期待したい。

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