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注視すべきマレーシア選挙

マレーシアのナジブ首相が連邦議会下院を解散し、5月9日に総選挙が実施されることになった。経済では東南アジアの優等生ともされる同国だが、ばらまきを競う与野党の動きを見る限り、成熟した民主主義国への道が一段と遠のいていると言わざるをえない。

ナジブ氏が率いる与党連合の国民戦線は、2017年に5.9%に達した高い経済成長などの実績を強調し、1957年の独立以来続く政権の維持を目指す。

対する野党連合の希望連盟はナジブ政権の汚職体質を批判し、92歳のマハティール元首相が政権打倒の陣頭指揮に立った。だが与野党どちらの主張も、小手先の人気とり政策ばかりが目立つ。

ナジブ首相は議会解散の直前、公務員や年金受給者向けの現金支給を発表した。野党側は高速道路の無料化や最低賃金の引き上げを口にしている。いずれも持続的な経済成長を導く長期的な展望を全く描けていない。

マレーシアでは有権者から現金で票を買う不正行為が、半ば公然とまかり通っている。ナジブ政権は、与党に有利とされる選挙区の区割り変更を駆け込みで議会で成立させ、政権に批判的な報道を封じる立法措置もとった。

同国の1人当たり国内総生産(GDP)は約1万ドルと、先進国の仲間入りが近い。だが開発独裁の古い体質を残す政治体制は、新興国どころか途上国のままだ。

腰を据えて取り組むべき課題は多い。たとえばマレー系国民を優遇するブミプトラ(土地の子)政策は、人口の25%を占める華人系からみれば明らかな人種差別だ。こうした不条理な構造を放置したままでは、人権を尊重する国として世界の信用は得られない。

カンボジアの独裁的なフンセン政権や軍政が続くタイなど、東南アジア各国で民主化の遅れが目立つ。アジアに民主主義が根づくためにも、他国に先駆けて経済発展を遂げたマレーシアは、公正で透明な選挙を通して政策を競い政治の進化を示してほしい。

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