2019年3月26日(火)

出直し迫られる2年目の仮想通貨業界

2018/4/7 23:32
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別名「仮想通貨法」とも呼ばれる改正資金決済法が2017年4月に施行されて1年となる。

改正法は、取引の安全と安定を高める目的で仮想通貨交換業者に登録制を世界で初めて導入した。新たなイノベーションを通じ、送金や決済など金融取引の利便性を向上するのが狙いだが、むしろ誤算と混乱ばかりが表面化した。信頼の回復へ、仮想通貨業者は根本的な出直しを迫られている。

金融庁は6日、業者3社を対象に業務停止や改善命令の行政処分を出した。

金融庁は、3月にも7社に類似の行政処分を出したばかりだ。業界で、リスク管理対策の不備や、顧客資産の流用などの法令違反が続出する異常事態である。

この1年、金融庁にとって誤算だったのは、急成長してきたこの業界の顧客保護に関する意識が想定以上に低かったことだ。登録制の導入後も、業者の半分が金融庁の登録審査を通過できていない。にもかかわらず仮免許扱いのまま「みなし登録業者」として営業を認められてきた。

そのひずみが端的にあらわれたのが、1月に大手コインチェック(東京・渋谷)で発生した580億円相当の仮想通貨の巨額流出事件だ。派手な広告宣伝を通じた顧客集めを優先し、肝心の預かった顧客資産をハッキングから守る基本的な体制がずさんだった。

金融庁は、2年目に入っても正式登録できる能力や意志を欠く業者には撤退を迫るなどして、みなし業者を解消すべきだ。

IT企業や金融異業種の傘下で出直す動きもある。第1号として6日にコインチェックの買収を決めたネット証券マネックスグループの株価は急騰した。仮想通貨事業の将来性や収益力が評価されたためだが、マネックスには重い責任が伴う。コインチェックの株式上場構想を描く前に、同社の内部管理体制の立て直しが必要だ。

正規の登録業者にも信頼回復に向けた努力が欠かせない。改正法は業界の独自ルールを定める統一の自主規制団体の設立を想定したが、いまだに承認されていない。個別業者の利害による主導権争いをしている場合ではない。

基盤技術となるブロックチェーンとあわせ、幅広い応用が期待される仮想通貨の取引は国境を越える。ようやく始動した国際的なルール作りに、金融庁はこの1年の教訓をいかして貢献すべきだ。

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