2019年5月26日(日)

課題多い英語の大学入試改革

2018/4/2 23:15
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高校、大学などの関係者の問題提起に十分に耳を傾け、万全の態勢で入試改革に臨んでほしい。

現行の大学入試センター試験に代わり2020年度に始まる「大学入学共通テスト」の英語で、初めて導入する民間検定試験の7つの実施主体が決まった。

文部科学省は、23年度までは大学入試センターが作問するマークシート式試験と併存させ、24年度から実用英語技能検定(英検)、TOEICなどの民間テストに全面的に移行させる方針だ。

学校で長年、英語を学んでも社会での実践力が身につかない。そんな問題意識から従来の「読む」「聞く」に加え、「話す」「書く」の技能向上を促す目的で、4分野を問う民間テストを導入する。

だが、問題は大きく2つある。

まず、学習指導要領との整合性だ。今回参加が認められた民間試験は、実施主体により留学やビジネス向けなど、目的や難易度がかなり異なる。出題内容が、現在の高校の授業の実態に必ずしも沿っていない、と高校側は懸念する。

学校での英会話などの指導充実には、教師の能力を向上させる研修や教職課程の見直しも必要だ。が、道半ばという現実がある。

もう一つは公平性だ。性質の異なる民間試験の成績で、受験生の能力を正しく比較できるのか、という疑問が根強い。文科省は各団体の試験の点数を、国際的な評価基準に当てはめ、6段階で大まかに比較することが可能だと説明する。だが、「科学的な根拠に乏しい」と指摘する専門家もいる。

他教科では1点刻みで受験生を選別し、英語では精度が疑わしい段階別で評価する。入試改革の設計図そのものへの疑念に行き着く。東京大学が英語の民間試験を入試の合否判定に使わない意向を示したのは、こうした理由による。同様の懸念を抱く大学も多い。

民間試験の公平性などの課題を十分に検証し、改善するための時間が必要だ。文科省は24年度からの全面移行というスケジュールに固執すべきではない。

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