2019年9月20日(金)

自動運転で日本が世界をリードするには

2018/3/31 22:26
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政府のIT総合戦略室が自動運転に関する制度の整備案をまとめた。人でなく機械が運転の主体となる自動運転技術を2020年までに実用化することをめざし、必要な法制度や車両の保安基準、事故が起きた時の被害者救済の仕組みなどを、順次整えるという。

自動運転の技術は、他の国にもまして日本が切実に必要としている。官民が歩調をあわせて技術開発やルールづくりを進め、「自動運転は安全で便利」という社会的コンセンサスを形成して早期の普及につなげたい。

自動運転の最大のメリットは安全性の向上だ。交通事故の多くはよそ見など運転手のミスによる。自動運転車が普及すれば交通事故は大きく減ると期待できる。

あらゆる人に「移動の自由」を提供できる利点もある。高齢化の進む日本では運転への不安から免許を返上する人も多い。自動運転車は買い物や通院などお年寄りの生活の大切な支えになるだろう。深刻化するトラックやバスの運転手不足対策としても有効だ。

加えて日本の自動車産業にとっては、環境と並んで外せない技術だ。自動車は取引の裾野や雇用の規模が大きい。日本車が自動運転で世界をリードすれば日本の経済成長にもつながるだろう。

それには技術開発の強化がまず重要だ。これまで自動車会社は機械工学の分野を中心に技術力を磨いてきたが、自動運転のカギは人工知能などソフト系の技術だ。

トヨタ自動車が外部の研究者を招いて米シリコンバレーに開発拠点を設けたように、社内外の壁を低くし開かれた姿勢で研究開発に取り組む必要がある。

政府の役割も大きい。自動運転の完成度を高めるには公道での走行実験が欠かせない。一方で最近、米ウーバーの自動運転車がアリゾナ州の公道で歩行者をはね死亡させる事故が起きた。

政府や自治体は安全性に十分に配慮し、必要なら「低速走行」や「昼間だけ」といった条件をつけることで、企業や大学の走行実験の要望に柔軟に応えてほしい。

社会の理解を深めて受容性を高める工夫も要る。技術が成熟する過程では事故も起きるが、自動ブレーキシステムなどの新技術によって多くの事故が回避できているのも事実だ。

「自動運転の推進は道路の安全向上につながる」。そう人々に納得してもらうことが大切だ。

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