2019年3月24日(日)

「1票の格差」合憲に甘えずに

2018/3/31 1:07
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「ぎりぎりセーフ」は許容範囲内という意味である。だが、それでよしとしていると、だんだんと「少しはみ出してもいいじゃないか」と言いたくなるのが人の世というものだ。選挙の1票の格差の歴史を振り返ると、「少し」どころでない時代が長かった。ぎりぎりに甘えない姿勢が必要だ。

昨年10月の衆院選の選挙区ごとの「1票の格差」を巡る一連の訴訟の高裁判決が出そろった。最大1.98倍の格差について、名古屋高裁が「違憲状態」としたが、残る15件は合憲判決だった。16件を一括審理する最高裁は合憲と判断する可能性が高そうだ。

そのことに異は唱えない。とはいえ、地方を主たる地盤とする自民党にいまだに「1票の格差があって何が悪い」という国会議員が多いことは気がかりだ。

25日の自民党大会で了承された憲法改正案には、衆院の選挙区の区割りに際しては原則として自治体を分割しないとの規定が盛り込まれた。現行の区割りでは、全国で100を超える市区町が分割され、地域の一体性を損なっているというのが言い分である。

まだ、案の段階とはいえ、今後の区割り作業において心理的な圧力となろう。衆議院議員選挙区画定審議会設置法は「2倍未満を基本とする」と定めるが、どれだけはみ出すと「基本」を外れるのかの基準はない。最高裁は2005年の衆院選の最大格差2.17倍を合憲としている。

次回の区割りから都道府県に配分する選挙区の数はアダムズ方式という計算法で決まる。どの都道府県にも最低2議席を配分する仕組みのため、その後の区割りで2倍内を達成するのは容易ではないという。そこに自治体分割禁止が加わったら、ほぼ無理だ。

自民党は過去3回の衆院選をいずれも圧勝した。しかし、そこには1票の格差が同党に有利に働いた上げ底分も含まれている。誰からも後ろ指を指されない堂々たる勝利を目指す。それでこそ政権党というものだ。

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