2019年4月20日(土)

後がない年金機構、組織と規律を立て直せ

2018/3/31 1:07
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日本年金機構の支給漏れ問題は機構が抱える構造要因が背景にある。加入者と受給者に高じた不信感を拭うのは容易ではない。

水島藤一郎理事長は後がないと覚悟を決め、組織と規律の立て直しに全力をあげてほしい。この問題の解決は厚生労働省だけの手には負えない。政権を挙げて改革を立案・実行すべきである。

支給漏れを起こした原因は2点に大別できる。第1は、税法改正に伴って受給者が機構に出す申告書の様式を変えたのがきっかけになった。記入項目が増えた結果、返送しない人が続出し一部の人への支給額が過少になった。

今回、機構が明らかにした第2の要因は、ガバナンスの問題だ。機構が受給者情報の入力を委託した民間企業が中国企業に孫請けに出すなど契約違反を犯していた。機構はそれを把握していたにもかかわらず素早い対応を怠った。

機構の前身は厚労省外局の社会保険庁だ。第1次安倍晋三政権の2007年、同庁が管理する約5千万件の年金記録が名義不明になっていた事実が判明した。

社保庁批判が全国でわき起こり、自公両与党は同庁を廃止し機構を新設するための法案を成立させた。非公務員型の特殊法人として機構がスタートしたのは、民主党政権になってからだった。

2代目理事長の水島氏は三井住友銀行の出身だ。社保庁から続く悪弊を改めようとガバナンス改革を指揮してきたが、今回の不祥事はその努力が道半ばであることを物語る。3点提案したい。

まず、外の目で組織の運営を厳しく監査する体制づくりだ。現行の非常勤理事が機能しているかどうか入念な点検が必要である。

次に、年々増え続ける業務に堪えられるよう組織・人事を柔軟に見直す仕組みの導入だ。法改正が必要なら厚労省は法案提出をためらうべきではない。

最後に、国税庁との連携だ。保険料と税の徴収機関は統合させたほうが効率が高まる。私たちは両者を統合した歳入庁を新設する構想を唱えてきた。今回の不祥事の発端も納税事務だ。統合が政治的な課題だとしても事務作業の一体性を高めることは可能だろう。

今回の件を受けて安倍政権は機構と地方自治体とのマイナンバー情報連携を再延期するが、過剰反応ではないか。年金加入者・受給者の利便と行政効率化につながる改革は粛々と実行すべきだ。

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