2018年11月21日(水)

米国は一方的措置で通商秩序を乱すな

2018/3/23 23:15
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米トランプ政権が国際的な通商ルールを無視した一方的な措置に走り出した。貿易戦争を招きかねない危険な動きである。日本をはじめ自由貿易を重視する国々は米国に軌道修正を強く迫るべきだ。

米政府は23日、日本などからの鉄鋼とアルミニウムの輸入にそれぞれ25%、10%の追加関税を課す措置を発動した。前日の22日には中国に対する制裁措置を発表。知的財産権の侵害を理由に最大600億ドル相当の輸入品に高関税をかけることなどを盛り込んだ。

鉄鋼とアルミの輸入制限は安全保障のためというのが表向きの理由だが、自国の業界保護が狙いであるのは明らかだ。日本や中国からの輸入には追加関税をかけるが、欧州連合(EU)や韓国などには当面、高関税措置の発動を猶予するという。国によって対応が異なる根拠は明確にしていない。

日本は関係各国とともに世界貿易機関(WTO)に提訴するなど、ルールにのっとった対応策を検討すべきだ。

対中制裁も問題がある。中国が海外企業の知的財産権を尊重していないのは確かだが、米国が一方的な措置を取れば、中国が報復し、貿易戦争につながる恐れがある。自国企業の知的財産権が侵害されている日欧などと一体になって対中圧力をかける方が有効だ。

今回の対応から透けて見えるのは、強硬姿勢を取ることで、相手国から何らかの譲歩を引き出そうとする「取引至上主義」の考え方だ。そうした姿勢は米国に対する信頼を傷つけると同時に、ルールに基づく自由貿易秩序をかき乱すものといわざるをえない。

そもそもトランプ大統領の貿易政策には根本的な誤りがある。

一つは対米黒字が大きい国は市場が閉鎖的だと断じて、黒字減らしを求めていることだ。2国間収支と市場開放度は基本的に関係ないにもかかわらずだ。

2つ目は環太平洋経済連携協定(TPP)から撤退したことだ。TPPは知的財産権保護や国有企業への優遇措置禁止を盛り込んだ質の高い自由貿易協定である。これを世界的なルールに広げていくことで中国が不公正な慣行を変えざるをえなくする狙いがあった。

米政権がこうした誤りを正す可能性は当面は小さい。だが、米国の保護主義化が進めば世界経済への悪影響は甚大だ。日欧などが歩調を合わせ、政策の見直しを粘り強く訴えかけていく必要がある。

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