スマホゲーム、PCで楽しんで 米ソフトが新風
先読みウェブワールド (山田剛良氏)

2018/3/29 6:30
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スマートフォン(スマホ)ゲームをパソコン(PC)で遊ぶ。そんなことを手助けするソフトが国内に本格的に上陸する。スマホ自体の高性能化を背景に、スマホゲームもグラフィックスの美しさなどを競う状況になっている。こうした状況が、実は逆にPCでゲームを遊ぶ層を増やす原動力にもなっているという。

「今のスマホゲームはスマホで遊ぶにはハイスペック過ぎる。PCで遊んだ方がずっと快適だ」と話すのは、米ブルースタックシステムズ(Bluestack Systems)の最高経営責任者(CEO)であるローゼン・シャルマ氏。アンドロイドの基本ソフト(OS)をPC上で動かし、スマホゲームを遊べるようにする無料ソフト「BlueStacks(ブルースタックス)」を開発している。

さまざまなスマホゲームをパソコン上で楽しめる

さまざまなスマホゲームをパソコン上で楽しめる

シャルマ氏は米シリコンバレーでいくつもの企業を手がけてきたシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。2009年には米マカフィーで最高技術責任者(CTO)を務めた経歴を持つ。

そんな彼が11年から注力するのがブルースタックスだ。当初はスマホ専用の連絡アプリなどをPCで使えるようにする業務用途でスタートしたが、徐々にゲームプレー用途にシフト。現在では収益のほぼ100%がゲーム関連になっているのだという。

「一度スマホからブルースタックスに乗り換えたら、ほとんどのユーザーはスマホには戻らない」とシャルマ氏は自信を見せる。その背景にはスマホゲームの高機能化がある。

最近のスマホゲームは高いグラフィックス性能やストレージ容量を要求するゲームが少なくない。こうしたゲームは画面が大きく中央演算処理装置(CPU)の処理能力がハイスペックなスマホでないと快適に遊べないが、ゲームの中心ユーザーである若年層は高機能な最新端末を持っていないというミスマッチがある。頻繁なアップデートで通信容量を消費するのも、お小遣いが限られた彼らにとっては困ったことだ。

自宅のPCでスマホゲームが遊べればこうした問題は解消する。多くのPCはスマホよりまだまだ高機能で画面も大きい。通信もたいていは常時接続になっているため、通信容量を気にせず快適に遊べる。結果としてブルースタックスのユーザーは「ゲームにお金を落としてくれる。1人あたりの売り上げ平均がスマホの5倍になったタイトルもある」(シャルマ氏)という。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

国内のスマホゲーム市場の現状もシャルマ氏にはチャンスに映る。国内スマホゲーム市場ではミクシィの「モンスターストライク」や、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」といったタイトルが何年も上位に君臨し続けており、新参のタイトルが食い込みにくい市場になっている。

一般のユーザーよりはマニアックな傾向を持つブルースタックスのユーザーをつかむのは、「新しい市場を開拓するツールになり得る」とシャルマ氏は話す。

その先に見るのが、PCでゲームを遊ぶ文化の普及だ。米国や韓国などに比べると、国内ではPCゲームの人気が低いと言われてきた。だが、昨今のeスポーツへの注目度の高まりや「シャドウバース」などスマホとPCの両方で遊べる人気ゲームの登場が風向きを変えつつあるようにも見える。

国内でも人気が高まってきた「PUBG」のように、海外のPCゲーム市場は意欲作が次々と登場し、国内よりずっと豊潤。ブルースタックスのようなソフトは、こうした文化が国内に流れ込むきっかけになるのかもしれない。

[日経MJ2018年3月26日付]

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