2018年4月25日(水)

春秋

2018/3/21 0:37
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 「大きな揺れが来たとき、私を守るように覆いかぶさったお母さん」「壊れそうな家の中からランドセルを見つけ出してくれたお父さん」「車の中で毎日携帯電話をいじり、投げやりに過ごす僕に、おまえはその程度の人間だったのか!と言って目に涙を浮かべた祖父」

▼2年前、大規模な地震に見舞われた熊本県の教育委員会が新年度に向け、県内の小・中学校で道徳や防災の授業で使う副読本「つなぐ」を作成した。震災のなかで児童生徒が何を思い、何を感じたのか。それを次の世代に伝えていこうと約80人の先生たちが話し合いを重ねてまとめた労作だ。一読して胸に迫るものがある。

▼副読本には「ヤカンを持った男の子」を報じた、地震直後の小欄も掲載されている。自分も被災しながら、避難所で仮設トイレを使うお年寄りに手を洗ってもらうため、ヤカンで水をかけ続けた少年の話だ。県教委の担当者はこの少年を探して当時の様子をさらに取材したというから、教材づくりへの思いが伝わってくる。

▼天守の瓦や自慢の石垣が崩れ落ちた熊本城をはじめ、地震の爪痕はなお、県内のあちらこちらに残っている。復興への道まだ半ばという一方で、震災体験の風化とのたたかいも始まる。「あの時」の思いを共有し受け継いでいくことで、熊本の子どもたちがよりたくましく、よりやさしく育っていくことを願ってやまない。

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