2018年9月26日(水)

春秋

2018/3/14 1:08
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 1211年にイタリア・フィレンツェの銀行家が書いた2枚の文書が現存している。お金の出し入れを整理した帳簿の一部だ。A3判に相当する大きさで、丈夫な羊皮紙を使っている。取引の記録をさぞ大事にしていたのだろう。渡辺泉著「会計の歴史探訪」に詳しい。

▼文書のなかには、「神の名において、アーメン」という言葉がみえる。内容に偽りがないことを誓ったものだ。取引の記録はトラブルを解決する際、裁判で証拠書類になった。内容を納得してもらうための工夫が、神の力を借りることだったという。文書が信頼を得るように、当時の人たちは心を砕いていたというわけだ。

▼対照的に、昨今の政府による公文書の取り扱いは劣化が著しい。森友学園をめぐる文書書き換え以外にも、加計学園幹部が会議に出席した事実や発言を議事録に記さなかったり、国連平和維持活動の日報を廃棄したとして公表してこなかったりした問題がある。情報を記録し、公開することの重要性をどう考えているのか。

▼中世ヨーロッパでは都市の発展とともに、商取引の記録や行政文書などが数多く作られた。近代になり主要都市では公益に資する目的で、過去の記録の保管施設が相次いで生まれた。文書管理に歴史の重みがある。財務省は「森友文書」問題を踏まえ、公文書の保存ルールを見直すという。付け焼き刃にならないよう願う。

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