財務省は納得できる説明を - 日本経済新聞
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財務省は納得できる説明を

学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり、決裁文書が問題発覚後に書き換えられた疑惑が浮上している。財務省は今回の土地売却が捜査対象であることを理由に事実関係の確認を拒んでいる。もし公文書が改ざんされたとすれば、国民への重大な背信行為だ。政府は経緯を調べて一刻も早く説明する責任がある。

財務省は6日の参院予算委員会理事会で調査状況を報告した。文書の書き換えについて「捜査の対象になっており、すべての文書を直ちに確認できない状況だ」と説明した。野党は反発し、予算委員会の審議が空転した。自民党の二階俊博幹事長は同日の記者会見で「どういう理由で国会から要求された資料が出せないのか理解できない」と語った。

財務省の担当者は野党側に「文書の原本は大阪地検にあり、近畿財務局にはない」と説明。麻生太郎財務相は記者会見で「捜査に関する影響を配慮しつつ、担当局以外の職員も関与させて全省挙げて調査を進めたい」と述べた。

森友問題は評価額約9億5千万円の土地がなぜ8億円強も値引きされたのかが焦点だ。野党は一部報道に基づき、財務省の決裁文書には「特例的」「本件の特殊性」などの記載があり、国会に示された文書ではこれらが消されたのではないかと追及している。

財務省は国会で書き換えの有無を問われても「捜査にどういう影響を与えるか予見できない」として確認を拒んでいる。捜査妨害にならない配慮は必要だが、国会は行政をチェックする重要な役割を担っている。政府はまず事実関係を丁寧に説明し、佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)ら関係者の国会招致にも応じるべきだ。

安倍政権では森友学園のほか、加計学園の獣医学部新設、南スーダン国連平和維持活動(PKO)、裁量労働制の不適切データなどでも情報の扱いが問題になった。行政判断を検証する公文書管理の仕組みが機能しておらず、政府は制度の改善を急ぐ必要がある。

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