春秋

2018/3/4 1:12
保存
共有
印刷
その他

大正12年(1923年)、東京駅前に旧丸ビルが完成してから、オーナーの三菱地所はビルの使い方をくわしく解説した冊子をつくった。初めて近代的なオフィスビルに入居したテナントの人たちに、注意してほしいことが多かったためだ。内容をいくつか紹介しよう。

▼「窓に植木鉢を置いたり、ハンカチや、手拭などを干さぬこと」。植木鉢などが落下すると下にいる人がけがをすると戒める。「勝手に、火鉢や石油ストーブなど、持込まぬこと」。火災を起こさないために、厳禁だ。「靴の泥や紙屑(くず)などで、館内を不潔にせぬこと」。環境美化への配慮が十分でない人もいたからだろう。

▼これらに加え、いまはオフィス生活の新しいルールやマナーが生まれている。たとえば会議の時間を30分などと限る動きがある。社員が固定席を持たない「フリーアドレス」方式では、外出するとき、ほかの人が机を使えるよう私物をロッカーなどに片付けるのが基本だ。働き方改革に伴って様々な決まりが登場している。

▼情報の流出を防ぐため、会社で使っているパソコンの社外への持ち出しを禁じる例も一般的だ。ルールが増えることに、息苦しさを感じる向きもあるかもしれない。旧丸ビルの使い方を説明した冊子をいま読むと、「――せぬこと」といった上から目線の感じがやや鼻につく。ルールの知らせ方もわりと大事になりそうだ。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]