2018年6月19日(火)

音楽ストリーミング「スポティファイ」に刺客次々
先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

コラム(ビジネス)
2018/3/5付
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 インターネットを通じて、音楽や映像作品を手元のスマートフォン(スマホ)やパソコンで「再生」したり「中継」したりするストリーミング(サービス)が、私たちの生活に定着してきた。

音楽ストリーミングをけん引するスポティファイだが、首位の座は安泰ではない=ロイター

音楽ストリーミングをけん引するスポティファイだが、首位の座は安泰ではない=ロイター

 音楽の分野では「スポティファイ」「アップルミュージック」そして「アマゾン・プライム・ミュージック」などが、世界の市場を席巻している。映像では「ネットフリックス」「Hulu(フールー)」などが市場を開拓し、音楽同様、アマゾンが「プライム・ビデオ」で追う。国内勢では「アベマTV」が知られている。

 音楽分野を例にすれば、これまでは、CDを購入して、物理的に手元に保管したり、アップルの「アイチューンズストア」などで、購入した楽曲データをダウンロードしておく必要があった。ストリーミングなら、定額で聴き放題というサービス形態とも相まって、気の向いた時や場所で多種多様な音楽を楽しめる。ストリーミングはスマホ時代のエンターテインメントにフィットしているわけだ。

 ところで2018年には、急成長してきた楽曲ストリーミング市場に、大きな画期が訪れると予測されている。その予測の前提となる市場をまず見ておこう。

 米国レコード協会の発表では、17年上期の楽曲売り上げの6割強をすでにストリミーングが占めている。対してダウンロードは2割弱。CD販売はさらに小さい。かつて音楽CD販売の最大手だった量販店「ベストバイ」が、今年前半でその販売を終了すると発表をしたのも驚きではない。

 08年のサービス開始から音楽ストリーミング分野の代名詞ともいわれてきたスポティファイだが、同社は、今年に入って有料利用者が全世界で7000万人を超えたと発表。広告が挿入される無料版利用者と合わせると1億4000万人超だという。同社は近く株式を公開する。著作権料支払いの増加や大規模な設備投資への支出で、なかなか黒字化しないとされてきた音楽ストリーミングだが、いよいよ収穫期に入った。

 このこと自体が業界の画期だが、さらにスリリングなことが起きようとしている。まず米紙のウォール・ストリート・ジャーナルが、2番手アップルミュージックが、年内にも米国内での首位の座を奪うとの予測を示したのだ。

 アイフォーンに搭載されていることをテコに利用者を伸ばす同サービスの成長率が、スポティファイを上回っていることが背景だ。資金調達をめざすスポティファイには向かい風となる。

 また、これまでこの市場で後れを取っていたグーグルが3月にも、「ユーチューブ」で定額ストリミーングを投入する。こちらもアイフォーンを出荷台数で上回るアンドロイド端末という強力な基盤が背景にある。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。東京都出身。

 もうひとつ言うと、スマホだけがストリーミング再生端末ではないということもある。注目は「AIスピーカー」だ。スポティファイを追うアップル、グーグルに加えてアマゾンも、この機器の販売でしのぎを削っている。最後発のアップルのAIスピーカー「ホームポッド」の特徴は、音質の良さだという。

 家庭や自動車内の音楽市場は、音声による指示で手軽に好みの音楽を選択できるAI機能との組み合わせが良い。スポティファイ自身もAIスピーカーを開発中とのウワサも浮上している。新興勢力がリードしてきた音楽ストリミーングで、大手の参入で新たな競争が始まろうとしている。

[日経MJ2018年3月5日付]

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