クリエーター、企業が育む
SmartTimes (林信行氏)

2018/3/5 6:30
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「エンジニアは問題の解決が仕事。問題があると、それを因数分解して(問題を構成する要素を整理して)社内の役責に落とし込み(配分し)解決に挑む。だが、今回はそれとは違うアプローチができた」。ホンダの研究開発子会社、本田技術研究所のチーフエンジニアの阿部典行氏は語る。

最新の技術が生活や文化に与える影響を25年以上にわたり取材。マイクロソフトやグーグルのサイトで連載を執筆した他、海外メディアに日本の技術文化を紹介している。東京都出身。

最新の技術が生活や文化に与える影響を25年以上にわたり取材。マイクロソフトやグーグルのサイトで連載を執筆した他、海外メディアに日本の技術文化を紹介している。東京都出身。

2月に都内各所で開かれたアートイベント「Media Ambition Tokyo(メディア・アンビション・トウキョウ)」。ホンダはこのイベントで、愛や平和に関するつぶやきがツイッターで増えると花が開く「コネクテッドフラワー」というロボットを出品した。アーティストの浅井宣通氏とファッションデザイナーの広川玉枝氏がつくった。

2人は「これまでのロボットにない美しさのためにどうしても必要」と首を細くすることにこだわった。結局、茎のような細い首で大きな頭を支えつつ中にワイヤや信号線を通す方法をエンジニアが考えつき、ロボットが完成した。

このイベントは6回目。「日本のクリエーターの力を結集し世界の人々を日本に集めよう」と、プロデューサーの谷川じゅんじ氏とクリエーターの斎藤精一氏が始めた。目標にしたのはイタリアのミラノで開かれている「ミラノデザインウィーク」。世界最大のデザインイベントだ。

CES(国際家電見本市)の来場者数は約18万人、IFA(国際コンシューマーエレクトロニクス展)が約25万人なのに対し、ミラノデザインウィークは約50万人に達する。イタリア国外からの訪問者だけでも30万人を超すという。

ミラノデザインウィークで話題になるのは「コミッションワーク」だ。中世の貴族が画家や音楽家に出資して現代にも残る芸術文化を築いたように、大企業が世界のトップクリエーターに資金を出し、作品をつくらせる。

メディア・アンビション・トウキョウもコミッションワークに力を入れる。ホンダのほか、LEXUS(トヨタ自動車)やトヨタ紡織ソニーダイキン工業らが参加、いずれの展示も人気を博していた。ゲームクリエーターの水口哲也氏は「こうしたコミッションワークの文化は日本では弱かった。時間をかけてそうした文化が広がる雰囲気づくりをしたい」と語る。

10月には「デザインアート」というイベントが開かれる。やはり、企業のコミッションワークを中心としたミラノデザインウィークのようなイベントを目指している。日本の経営者は、こうした潮流を受け入れる許容力が問われている。

メディア・アンビション・トウキョウは、スタートアップ支援のミスルトウ(東京・港)の孫泰蔵社長らの投資を受けて社団法人になる。これまで以上に海外発信に力を入れるようになるだろう。

[日経産業新聞2018年3月2日付]

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