2018年10月19日(金)

習近平政権の終わりのない強権政治

2018/3/1 0:39
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中国の元首である国家主席の任期に関して、最長でも2期10年までとしてきた制限を全て撤廃する方向が固まった。3月5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で現行憲法の関連規定を改正する。

権力集中を進めてきた習近平国家主席は、5年後の2023年以降もトップの椅子に座り続ける可能性が強まった。そればかりか、終身の主席をめざしているとの見方まで出ている。

あまりにも露骨である。その強権的な手法には危うさを感じる。

共産党は1月の中央委員会第2回全体会議(2中全会)で改憲の中身を議論したとしている。だが国家元首の任期延長については、閉幕時に一切公表していない。中国の未来を左右する極めて重大な事柄が国民が全く知らないところで決まり、いきなり発表された。衝撃は大きい。

中国では独裁政治を懸念する声なき声が広がっている。過去に例がある。独裁者、毛沢東が1966年に発動した文化大革命では多大な犠牲者が出た。その反省に立ち次の最高指導者、鄧小平が打ち出したのが元首の任期制限だ。習氏はそれをいとも簡単に破った。

中国は既に世界第2位の経済大国である。中国から欧州、アフリカまで陸と海でつなぐ新シルクロード経済圏構想(一帯一路)を通じて、国際的な影響力も強まりつつある。その強大な国家が開かれた方向をめざすのではなく、強権に傾斜している。

言論状況を見ても習氏礼賛ばかりが目立つ。インターネット上の異論はすぐ削除される。1990年代後半から2000年代初めの雰囲気とは大きく違う。政界、経済界のほか学究の世界でも自由闊達な雰囲気が失われるなら、中国社会の発展を阻害しかねない。

習氏は昨秋開いた5年に一度の共産党大会で、若手から次期トップ候補を最高指導部に抜てきする慣例を破った。トップの任期制限まで消えれば政官界の新陳代謝も損なう。仮に若手を引き上げるにしても習氏の側近グループからの起用ばかりになってしまう。

習氏はこの5年間、汚職撲滅を掲げて多くの政治家、官僚、軍幹部を摘発した。国民は当初、その大胆さに喝采を送った。確かに一定の効果はあった。とはいえ強引な任期延長を見ると、「反腐敗」運動は自らの権力強化の手段にすぎなかったと言わざるをえない。

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