2019年3月23日(土)

被災地水産物の禁輸是正を

2018/2/28 0:04
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東京電力福島第1原子力発電所の事故後、韓国が福島県などの水産物の輸入を規制していることについて、世界貿易機関(WTO)は是正を求める報告書を発表した。韓国の輸入規制は科学的な根拠を欠くものであり、今回の判断は当然といえる。

韓国は2011年の東日本大震災以降、福島、岩手など8県でとれたマダラなどの輸入を停止。さらに13年には規制を強化し、すべての水産物の輸入を禁止した。

WTOの一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)は、こうした韓国の措置が「恣意的または不当な差別にあたり、必要以上に貿易制限的」と判断し、日本政府の主張を認めた。

現在、日本産食品の輸入を制限する国・地域は27にのぼる。50カ国・地域以上あった原発事故の直後に比べれば減少したとはいえ、放射能汚染に対する風評被害は根強い。韓国もパネルの判断を不服とし、最終審である上級委員会に上訴することを決めた。

政府の調査では、福島県の水産物で安全基準を超える放射性物質が検出される比率は事故直後(11年4~6月)の53%から、直近の昨年10~12月では0.3%にまで低下している。海でとれる水産物に限れば、15年4月から比率はずっとゼロだ。

しかし、福島県の沿岸漁業は被災から7年近く経過した今も、本格的な操業・出荷を再開できていない。福島県漁業協同組合連合会によれば、昨年の福島県の出荷量は10年の8分の1にすぎない。

政府はこの現状を重くとらえるべきだ。国内外に残る風評被害を科学的なデータを示すことで取り除き、被災地の農林水産業の回復につなげてもらいたい。

農林水産物の貿易では安全性の確保を理由に、しばしば厳しい輸入規制がとられる。日本政府も米国でのBSE(牛海綿状脳症)発生後、厳格な検査や月齢制限を米国に求めてきた。科学的な根拠を欠く食品の輸入規制をつくらない方針を各国が徹底すべきだ。

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