2018年7月22日(日)

フリーランスで働く人の支援を多面的に

2018/2/28 0:04
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 個人で企業から仕事を請け負う「フリーランス」の人たちが、不利な取引条件を押しつけられるのを防ぐため、公正取引委員会はどんな場合に独占禁止法が適用されるかを整理して公表した。

 働き方の多様化を踏まえ、独立自営の人の保護に力を入れることは妥当だ。ただ、仕事の単価がもともと安いなどの悩みを抱える人も多い。フリーランスの人への支援を丁寧に進めたい。

 公取委の有識者検討会が、IT(情報技術)分野の技術者や翻訳者など雇用契約を結ばずに働く人と企業との取引について、問題のある事例を報告書にまとめた。独禁法を労働分野に適用する際の事実上の指針になる。

 たとえば企業が過度な秘密保持契約を課し、これを盾に他社との契約を制限することは独禁法上の問題があるとした。ソフトウエアなどの成果物の転用を不当に制限すれば、「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとしている。

 インターネットを通じて仕事を請け負う動きが広がり、フリーランス人口は副業を含めると1千万人を超えるという推計がある。働き手を不当な要求から保護する必要性は増している。いまも代金の減額などを禁じた下請法などの制度があるが、公取委の指針が加わることで対策を強化できよう。

 安定した収入を得やすい環境をつくるには、公正な取引を広げる以外の取り組みも求められる。連合などの調査によると、ネット経由で仕事を請け負う人の8割は年収が200万円未満と低い。

 収入を増やす確実な道は、より高いレベルの仕事をこなせるようになることだ。職業訓練の充実など能力開発の支援が重要になる。自らの能力を磨くことが、対価の交渉力の向上にもつながろう。

 業務ごとに最低額を設けて保障するという考え方もある。しかし仕事の内容は多様で、人によって出来栄えも異なるため、最低報酬の設定はかなり難しい。やはり能力開発の強化が現実的だろう。

 フリーランスの人同士が交流すれば、契約に関する知識や仕事の見つけ方を互いに学びやすい。自治体などがつくる共用オフィスは交流の場として役立つ。

 フリーランスは雇用保険や労災保険の対象外というハンディもある。現在は様々な制度が企業に勤めることを前提にできている。働き方を問わず、使いやすい仕組みに改めていく努力も求められる。

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