2018年12月15日(土)

五輪使った北の融和攻勢に安易に乗るな

2018/2/26 23:02
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北朝鮮が平昌冬季五輪の開会式に続いて、閉会式にも高官代表団を韓国に送り込んだ。五輪を利用した北朝鮮の融和攻勢には国際的な制裁圧力を弱める狙いがあるとみられ、警戒を怠れない。

北朝鮮は閉会式に金英哲朝鮮労働党副委員長(党統一戦線部長)らを派遣した。金氏は2010年に起きた韓国哨戒艦「天安」沈没事件や延坪島砲撃事件に関与したとされ、韓国の保守勢力が猛反発する中での訪韓となった。

金氏は韓国の文在寅大統領との会談で、南北関係の進展に期待するとともに、米国との直接対話についても「十分な用意がある」と述べたという。

開会式の際には、金正恩委員長の妹、金与正氏ら北朝鮮代表団がペンス米副大統領との接触を一時計画していたことが明らかになっている。北朝鮮が韓国を通じて接触の意思を伝えたものの、強硬姿勢を貫くペンス氏と会っても成果は見込めないとみて、直前になって自ら中止を求めたとされる。

北朝鮮が南北融和のみならず、米朝の関係改善の機会も模索しているのは間違いないようだ。問題は、これが北朝鮮の核・ミサイル問題を解決するための南北、米朝対話につながるかどうかだ。

韓国の文政権はもともと、南北首脳会談を視野に入れた関係改善に前向きだ。北朝鮮がそこに付け入り、五輪参加で南北融和ムードを演出し、制裁圧力の緩和や国際的な孤立脱却をもくろんだ可能性は否定できない。

実際、北朝鮮は五輪参加に伴って制裁対象者の訪韓、貨客船を使った芸術団の韓国派遣、代表団滞在費用の韓国負担など、制裁に抵触しかねない対応も強要した。

米韓は平昌五輪とパラリンピック期間中は合同軍事演習の実施を延期している。北朝鮮が今後、軍事演習の無期限中止を要求し、南北や米朝対話を進める前提条件にする事態も十分に予想される。

五輪を使った北朝鮮の融和攻勢には安易に乗るべきではない。北朝鮮との対話はあくまでも非核化に資することが前提だ。核問題を棚上げにした対話は、北朝鮮によって核・ミサイル開発の資金調達や時間稼ぎに利用されるだけだ。

米政府は先に、主に海上での密輸を阻止する北朝鮮への追加制裁を発動した。核放棄に向けた対話を北朝鮮に促すため、まずは日米韓が連携して実効性のある制裁圧力をかけていくことが肝要だ。

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