2019年8月19日(月)

春秋

2018/2/24 1:13
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松竹はしみじみと胸に迫るホームドラマ、日活は若さあふれる青春ものに無国籍アクション、東宝なら駅前シリーズや社長シリーズ……。その昔の日本映画には会社ごとにくっきりしたカラーがあった。俳優も監督も専属だから、お家芸に磨きをかけられたわけである。

▼シネマ全盛期を支えたシステムだが、弊害も見逃すわけにいかない。各社がスターの引き抜きを防ぐ協定を結び、背いた俳優はどの会社でも使わないことにしていた。これにメスを入れようとしたのが公正取引委員会である。1957年、東映の俳優が出演した独立プロの作品がボイコットされた問題での調査記録が残る。

▼労働分野に独占禁止法をあてはめる試みだったが、各社が協定を改めたとして結局は不問に付された。さてそれから時は流れて半世紀あまり。公取委がようやく、人材の過剰な囲い込みなどを独禁法違反とする指針をまとめた。芸能人やスポーツ選手だけでなく、フリーランスで働く人が増えてきたことに合わせた対応だ。

▼新しい働き方を後押しするには労働法制の整備も大事だが、独禁法の守護があれば一段と心強い。フリーランスの多くが、かつての映画会社の俳優みたいな扱いを受けている現状があるのだ。ちなみに往時の協定は、ほどなく先導役の大映が倒産して自然消滅した。人を縛りつけているうちに、産業自体が傾いたのである。

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