2018年4月27日(金)

裁量労働制をめぐる本質的論議を深めよ

2018/2/22 22:56
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 仕事の進め方や時間配分を働き手にゆだねる裁量労働制の対象者の拡大をめぐって、国会の論議が迷走している。労働時間の実態調査に不備があったことに野党が反発を強めているためだ。

 厚生労働省がずさんな調査をし、安倍晋三首相が答弁に使ったことは批判されて当然だ。ただ裁量労働制の拡大には、ホワイトカラーの生産性向上を促す意義がある。政府は不適切なデータ処理がされた経緯や法案作成段階での影響を十分説明し、国会での議論を深められるようにすべきだ。

 厚労省は裁量労働制で働く人と一般労働者の労働時間を異なる前提で集計し、裁量労働制の人の1日平均の労働時間は一般労働者より20分余り短いと報告していた。安倍首相は調査をもとに裁量労働制の効果を強調し、不備が見つかってこの答弁を撤回した。

 裁量労働制が働く時間の短縮に直接つながるかのような印象を与えた点は問題だろう。その後も多数のデータの誤りが判明した。厚労省は調査作業と内部管理の粗雑さを猛省すべきだ。

 避けなければならないのは、この問題によって「働き方改革」の目的や意義をめぐる議論が深まらなくなることだ。

 今国会に政府が提出予定の働き方改革関連法案には、裁量労働制の拡大のほか、労働時間ではなく成果をもとに賃金を払う「脱時間給」制度の創設も盛り込まれる。

 いずれも働いた時間に成果が比例しない仕事が増えてきた時代の変化に合わせ、働き手の生産性向上を後押しする狙いがある。改革を頓挫させないために、政府には今回生じた調査への疑義に真摯に対応することが求められる。

 野党も、働き方改革の目的などをめぐる本質的な議論を置き去りにしないようにしてもらいたい。

 健康確保措置として、裁量労働制では労働時間の上限設定や、終業から始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」導入などのどれかを企業に義務づける。こうした対策を含め建設的な論議をたたかわせてほしい。

 厚労省は働き方改革関連法案に盛る大半の制度の施行時期を、1年遅らせ2020年4月以降とすることを検討するという。

 調査の不備の影響とみられるが、裁量労働制の拡大や脱時間給の新設は15年4月の最初の法案提出から棚ざらしにされている。これ以上、先送りは許されない。

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