2018年7月22日(日)

中国の「一帯一路」に是々非々で対応せよ

2018/2/21 23:18
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 中国主導で広域経済圏をめざす新シルクロード経済圏構想(一帯一路)をめぐり、日本と中国の企業が第三国で協力する構想を日本政府がまとめた。

 両国の企業がそれぞれの技術を持ち寄り持続可能な形でインフラを整備できれば、第三国や地域の健全な経済発展を後押しできる。ひとまず妥当な内容だ。

 その一方で中国による軍事利用に手を貸してはならない。透明性が高く、環境にきちんと目配りした事業である必要もある。日本は事業ごとに協力できるか否かを慎重に吟味して決める「是々非々」の姿勢を貫いてほしい。

 日本政府の方針は、安倍晋三首相が昨年6月に「一帯一路」への協力を表明したのを受けて、外務省など関係省庁がまとめた。

 第三国で日中の企業が協力する例として(1)太陽光発電など省エネ・環境協力(2)工業団地の建設など産業の高度化(3)アジア・欧州を横断する物流の利活用――の3つを打ち出した。

 具体的な案件が不明な段階で詳しくは評価できない。ただ、日本の官民が事業にかかわるならば、工事の受発注などの手続きは公正でなければならない。

 懸念は強い。米戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、中国が融資した「一帯一路」の関連工事のうち約9割は中国企業が受注した。地元企業が受注したのは7%台にとどまっているという。

 世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などの国際機関の融資で中国企業の受注が約3割にとどまるのと比べ、著しく均衡を欠く。

 中国による中国のためのインフラ整備では困る。中国は経済協力開発機構(OECD)加盟国ではないが、国際ルールに準じた手続きをとらないと国際社会の信認は得られない、と認識すべきだ。

 中国はスリランカに港湾建設向け融資をし、返済できなくなった同国から権益を得た。アフリカのジブチでは海軍の拠点をつくり、ギリシャでは国有企業が港湾の運営権を握った。

 仮に中国が「一帯一路」の名の下で外国の港湾の軍事利用を進めれば、地域の安全保障秩序を大きく揺るがしかねない。日本として警戒を怠ってはならない。

 日本が「一帯一路」で中国と協力を探るのはよい。だが日中関係改善を大義に無原則で協力していいわけがない。大事なのは日本の国益を意識した規律ある対応だ。

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