2018年8月20日(月)

春秋

2018/2/20 1:00
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 以前に旧知の日銀マンを訪ねた時のことである。南分館の上層階の一室に通されて「ここから本館を見てください」と窓際にいざなわれた。明治期のれんが造りを斜めに見下ろすと、思わず「あっ」と声が出る。屋根の部分がまさしく「円」という形になっていたのだ。

▼東京駅や大阪市中央公会堂と同じ建築家の辰野金吾の設計である。「いろいろ思いをこめたんでしょう」とは日銀マンの感想だった。偶然との説もあるが、頑丈な建物のごとく信頼できる通貨であって、との願いがあるようにも感じる。その円の番人である日銀のトップは今春以降も黒田東彦総裁の続投が固まったという。

▼飛車とも角ともたのむ副総裁には、さらなる量的緩和を主張する論客と行内のプリンスを配すると報じられている。低金利で恩恵を受ける現政権が、痛みを伴う構造改革より、現状の緩和策に寄りかかっていたいとの観測もあるようだ。異次元が日常と化した5年だったとも言えるが、これからの5年はさらに難路だろう。

▼来秋は消費税率が引き上げられる予定で、2020年の東京五輪前後には景気の腰折れもささやかれる。22年からは団塊の世代のトップが75歳以上となり、安倍政権も交代している可能性が高い。霧の中、さらに山奥へと入るおもむきか。世の物価を2%上げるため金融政策が費やす例のない時と労力に深いため息が出る。

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