/

春秋

以前に旧知の日銀マンを訪ねた時のことである。南分館の上層階の一室に通されて「ここから本館を見てください」と窓際にいざなわれた。明治期のれんが造りを斜めに見下ろすと、思わず「あっ」と声が出る。屋根の部分がまさしく「円」という形になっていたのだ。

▼東京駅や大阪市中央公会堂と同じ建築家の辰野金吾の設計である。「いろいろ思いをこめたんでしょう」とは日銀マンの感想だった。偶然との説もあるが、頑丈な建物のごとく信頼できる通貨であって、との願いがあるようにも感じる。その円の番人である日銀のトップは今春以降も黒田東彦総裁の続投が固まったという。

▼飛車とも角ともたのむ副総裁には、さらなる量的緩和を主張する論客と行内のプリンスを配すると報じられている。低金利で恩恵を受ける現政権が、痛みを伴う構造改革より、現状の緩和策に寄りかかっていたいとの観測もあるようだ。異次元が日常と化した5年だったとも言えるが、これからの5年はさらに難路だろう。

▼来秋は消費税率が引き上げられる予定で、2020年の東京五輪前後には景気の腰折れもささやかれる。22年からは団塊の世代のトップが75歳以上となり、安倍政権も交代している可能性が高い。霧の中、さらに山奥へと入るおもむきか。世の物価を2%上げるため金融政策が費やす例のない時と労力に深いため息が出る。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

企業:

関連キーワード

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン