中小の税務 クラウドで - 日本経済新聞
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中小の税務 クラウドで

新風シリコンバレー (ジョアナ・ドレイク氏)

機械学習の応用が一般的なビジネスにも応用されている。その拡大の速度は目を見張るほどだ。

単純作業はソフトウエアや機械学習に任せ、人間は複雑な内容の仕事に専念する――。こうした状況を実現するには、機械学習が作業内容を解析できるだけの量のデータを集める必要がある。この難関をクリアできれば、コストが大幅に削減され、顧客へのプロダクトやサービスの質を向上させることができる。

クラウドコンピューティングを使って簿記作業を代行するベンチャー(スタートアップ)企業、Bench(ベンチ)はその好例と言える。同社は2012年にニューヨークで起業、13年からはカナダのバンクーバーに拠点を置いている。我々の投資先企業の1社でもある同社は、簿記作業の60%を自動化するだけでなく、人手に頼っていた従来の方法より5倍の速さで正確に処理する。

ベンチは米国やカナダで顧客を増やしており、他の先進国でも成長が期待できる。18年1月にはベインキャピタルなどの有力な投資会社から資金を調達した。

ベンチの最高経営責任者(CEO)で創業者でもあるイアン・クロズビー氏に創業のきっかけやこれからの展望について聞いた。

――簿記をクラウドサービスに移行することに着目したのはなぜか。

「大学生時代に大学の事務局でアルバイトをしていたとき、簿記の作業を任されたことがある。私に簿記の経験がなかったにもかかわらずだ。そのとき、簿記を簡単に外注できないという状況を知り、ビジネスチャンスを感じた」

――どのような企業を顧客にしているのか。

「年間の売上高が5万~500万ドルの中小企業やフリーランスで活動するプロフェッショナルだ。これらの人たちや企業は正確で信頼できる簿記を必要としているが、企業向け会計ソフトの導入は費用対効果が低い。新技術を駆使して良質のサービスを低価格で提供すれば、需要は必ずある」

――人間と機械の作業分担の配分はどれくらいなののか。

「当社は機械が人間の労働を代替するのではなく、人間しか行えないサービスに特化し、強化することをモットーとしている。簿記のような単調な反復作業を機械に任せることにより、当社の社員は顧客のニーズに敏感に注意を払えるようになり、経費削減策の提案など、パーソナライズしたサービスを提供できるようになっている」

――米国以外の市場への参入を計画しているのか。

「このほど、カナダでサービスを開始した。将来はそれ以外の国・地域への拡大も見据えている」

――クラウドでのサービスや機械学習は他のどんな産業と相性がよいのか。

「機械学習の恩恵を受けない産業はない。中小企業を対象にした法務や税務、基本的なマーケティングは機械学習で対応できるだろう。ビジネスのツールがパソコンからモバイルやクラウドに推移したように、機械学習は幅広い産業に影響を与えていくだろう」

[日経産業新聞2018年2月20日付]

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