春秋

2018/2/19 1:18
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映画やテレビドラマには魅力的な教師が登場する。世代によって心に残る作品は様々だろう。1976年に公開されたフランソワ・トリュフォー監督の名画「思春期」を見て教師になりたい、と思った人もいるかもしれない。フランスの小さな町の小学校が主な舞台だ。

▼虐待されていた少年の親が、警察に逮捕される事件が起きる。不幸な少年時代を過ごしたリシェ先生は、動揺する級友に真摯に語る。「子供時代に苦しんだ者ほど生命力に恵まれる。幸福にも恵まれる」「やがてみんなも親になる。子供を愛する親になれ」。5分間に及ぶ愛の言葉を、長回しで撮った美しいシーンがある。

▼今月上旬、静岡県で開いた日本教職員組合の教育研究全国集会を取材した。ブラック企業まがい、と指摘される教員の働き方改革が議論された。鹿児島県の小学校教諭は、「超勤解消の目的は子供と向き合う時間を確保するため」と語った。勤務実態を報告した12人の先生のうち2人が過去に鬱病で休職した、と告白した。

▼石川県の高校教諭は、「休日に模試の試験官を務めたが勤務と認められない」。組合も過労死ラインの残業が当たり前の状況を長年、放置してきた。リシェ先生は妻の出産に立ち会い、授乳する妻をねぎらい、休日に映画を楽しむ。満ち足りた気配を教室に運んでいる。幸せ、と言える日本の先生はどれほどいるのだろう。

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