心配なモルディブの政治危機

2018/2/17 21:45
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インド洋に浮かぶ島国モルディブが、政治危機に揺れている。最高裁判所が政治犯の釈放などを命じたところ、ヤミーン大統領は非常事態を宣言して長官を含む最高裁の判事2人を拘束し、命令の撤回に追い込んだ。

大統領は野党政治家の拘束や国会の封鎖にも踏み切った。2008年に初の民主的な選挙を実施してから10年。「楽園」とも称される高級リゾートの国は独裁に逆戻りしかねない情勢だ。

米欧諸国や国連の高官から懸念や失望の声があがっているのは当然だろう。年内には大統領選も予定されている。ヤミーン大統領は強権的な姿勢を改めるべきだ。

インドと中国を巻き込んで国際的な緊張が高まる気配を見せているのも、心配な点だ。

モルディブは伝統的に対印関係を最重視してきたが、13年に就任した大統領は対中傾斜を鮮明にしてきた。「一帯一路」構想への参加で中国と覚書を交わし、17年12月には中国と自由貿易協定(FTA)を締結した。

こうした動きにインドは神経をとがらせてきた。ヤミーン政権下で投獄され現在は海外に亡命中のナシード元大統領は、軍をバックにした特使の派遣をインドに求める声明を出した。

対して大統領は中国とサウジアラビア、パキスタンに特使を派遣し理解を訴えた。中国は外部からの干渉への反対を繰り返し表明しインドをけん制している。

モルディブの政治はかねて不安定な面があったが、中国のインド洋進出という地政学的な変化を背景に、今回はかつてなく国際的波紋を広げている構図である。

緊張を抑えるためインドのモディ政権と中国の習近平政権は慎重な対応を求められる。野党勢力や司法への圧迫をやめるようヤミーン大統領に促すことも必要だ。

日本はながくモルディブに対する最大の援助国となってきた。「自由で開かれたインド太平洋戦略」をかかげる安倍晋三政権は、危機の打開へ知恵を絞るべきだ。

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