2018年4月26日(木)

再任後の黒田日銀総裁が背負う重い課題

2018/2/16 23:16
保存
共有
印刷
その他

 政府は16日、4月8日に任期満了となる黒田東彦日銀総裁を再任する人事案を国会に提示した。2期目の黒田日銀は、デフレ脱却を確かなものにすると同時に、異例の金融緩和の後始末、つまり金融政策の正常化への道筋を描くことも求められる。

 安倍晋三政権の初期の2013年3月に就任した黒田総裁は、2%のインフレ目標を達成するために国債を大量購入し、マイナス金利政策を導入するなど「異次元」と称される大規模な金融緩和を推し進めた。

 金融緩和で円安・株高が進み、企業経営者の心理も好転し、日本経済は緩やかながらも息の長い景気拡大を続けている。ただ、日銀が掲げた2%のインフレ目標にはなかなか届かない。業績の好調な企業が賃上げを進め、個人の所得環境が改善し、物価も上昇するという好循環につなげることが必要になる。

 日銀総裁が2期目をつとめるのは1961年に再任された山際正道氏以来、57年ぶりだ。異例の金融緩和を始めた黒田氏にその仕上げと出口も託すという意味では妥当な選択だろう。

 異例の金融緩和には副作用もある。短期金利をマイナスにし、長期の10年物国債利回りを0%に抑える政策で、地方銀行など金融機関の経営は厳しくなっている。日銀が国債を大量に購入することで、政府の財政規律が緩むリスクもある。

 2期目の黒田日銀は、2%の物価目標を目指しながらも、長期の金融緩和が副作用をもたらさないように、政策を微調整していく必要もある。黒田総裁はこれまで「金融緩和の出口の議論は時期尚早」としてきたが、いずれ来る金融政策の正常化への道筋について説明し、市場との対話を円滑に進めることが求められる。

 政府は日銀副総裁に雨宮正佳日銀理事と若田部昌澄早大教授を充てる人事も提示した。金融政策の企画立案を長くつとめ、理事として黒田総裁の政策を支えてきた雨宮氏の昇格は順当だ。

 若田部氏は前任の岩田規久男副総裁と同様に積極的な金融緩和を求める「リフレ派」とされる。若田部氏が現在は減少傾向の日銀の国債購入の増額を求めれば、執行部内での対立が起こる可能性もある。日銀としての市場への発信に混乱が起きないよう注意してほしい。

春割実施中!日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報