2018年4月26日(木)

米財政赤字膨張の市場への影響が心配だ

2018/2/15 23:18
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 米国の財政赤字が大きく膨らみそうだ。トランプ政権が減税に加え、国防費をはじめとした歳出を拡大する方針を示したからだ。

 米議会も含めて財政規律の緩みが顕著になっており、米国の国債金利の上昇が加速しかねない。金利高やそれに伴う株価下落が続けば、世界の金融市場や経済に悪影響を及ぼす恐れもあり、警戒が怠れない。

 米議会は今月上旬、2018会計年度(17年10月~18年9月)と19会計年度(18年10月~19年9月)の歳出上限をあわせて約3千億ドル引き上げた。米政権が12日に発表した予算教書では、国防費を大幅に増やすほかインフラ投資に今後10年で2千億ドルを投じる方針を明らかにした。

 オバマ政権下で抑制されてきた国防費を増やすのは1つの考え方である。空港など老朽化が目立つ米国のインフラ施設を立て直すのも必要なことだ。

 問題は財政悪化を防ぐための歳出削減の姿が見えてこないことだ。経費の抑制対象として高齢者医療向け予算などをあげるが、具体的な案は示していない。日本と同様、高齢化の進展を考えれば社会保障制度の改革は避けて通れないが、実現可能性には大きな疑問がある。

 実施が決まった減税も同じ構図といえる。国際的にみて高い法人税率の引き下げはよいとしても、課税ベースの拡大などで減収分を賄う措置は十分にとっていない。

 減税やインフラ投資は生産性の上昇につながる可能性はある。米国の景気がさらに良くなれば世界経済にもプラスだ。

 だが、財政赤字の拡大懸念から国債金利が上昇すれば効果は減少する。好景気の下での財政刺激策は米連邦準備理事会(FRB)による利上げを加速させる公算もある。そうなれば、低金利や株高という温風に支えられた世界経済は試練にさらされるだろう。

 トランプ大統領の経済政策は、減税や歳出拡大による景気浮揚で税収も増えるので財政はそれほど心配する必要はない、という発想に基づいているように見える。だが、増収効果には限界があり、景気や物価が上向くなかで国債金利を抑え込むこともできない。

 財政規律の緩みという点では日本も同じである。財政状況も米国より悪い。景気を良くすれば財政問題は片付くというトランプ流の錯覚に陥らないようにしたい。

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