2019年4月20日(土)

私を鍛えてくれた会議
SmartTimes (村松竜氏)

2018/2/19 6:30
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私にとって修行の場となった会議がある。私が1994年に新卒で入社した日本合同ファイナンス(現在のジャフコ)で毎週月曜日の朝に行われていた「開発会議」だ。

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

20人のベテランキャピタリストと投資部門の取締役が見守る中、参加者は自分が最近発掘してきた面白い会社、つまり投資候補先企業の内容を発表する。市場規模や経営者の略歴、過去数年分の財務内容、今後の業績計画、事業・製品の内容、成長戦略などだ。

見ず知らずの経営者に面会を申し込み、事業計画に必要なこれらの要素を聞き出せなければ、開発会議で発表できない。自分がほれ込んで、投資したいと思うような会社について発表するときは、その社長の事業への情熱を代弁しているような気持ちにすらなる。

発表できたからといってすぐに投資が決まるわけではない。多くの厳しい質問にさらされ、投資検討が「没」になることもある。評価基準は厳しく、中には毎週、没になる人もいた。1カ月で1社も発表できなかった人もいた。

先輩たちや上司からの質問やつっこみは恐ろしく、それらに回答できなければ次はない。だが、価格戦略や競争戦略など、多岐にわたる質問には、事業内容を深く理解するためのヒントが詰まっていた。こちらから質問もできたので、質問力も鍛えられた。会議に参加するごとにキャピタリストとしての感覚が研ぎ澄まされていくのを感じた。実際、この会議の参加者から多くの著名なキャピタリストが生まれた。上場企業の社長になった人もいる。

私は多くの先輩から「村松、その話つくってるだろ」と指摘された。私の説明や応答が「できすぎている」というのだ。確かに「あの社長だったらこう考えるだろう、こう答えるだろう」と投資候補先企業の社長になりきって発表・発言することが多かった。

先輩たちからは「本当にその社長がそう言ったのか」とにらまれたが、私はすでにその社長の「社外参謀」にでもなったつもりになっていた。キャピタリストは経営戦略を経営者から聞き出すだけでなく、一緒に考えたり、ときにはこちらから提案したりするものなのだという思いがあった。

振り返ると、この会議で鍛えられたことは多い。(1)短時間でその会社のおもしろさを説明する能力(2)経営者との対話能力(本来、秘密中の秘密である、いわば経営戦略を聞き出す能力)(3)投資リターンに対する嗅覚(4)そして会社の未来を想像する能力――などだ。経営にも投資にも本質的に必要な能力ばかりだ。

上場企業やベンチャーキャピタルの経営幹部になった今でも、この会議で鍛えられた能力は私を大いに助けてくれている。当社でもこの会議と似た環境を用意して、若手を鍛え上げようと努力している。

[日経産業新聞2018年2月16日付]

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