プロセスより大事なもの
SmartTimes (スティーブン・ブライスタイン氏)

2018/2/16 6:30
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日本に進出している外資系企業の最高経営責任者(CEO)から日本企業から資材を調達するときの悩みを聞いたことがある。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

その日本企業は不必要でしかも面倒な手続きを経てから資材を納めている。品質管理の手順は、顧客である外資系企業が求めているものより厳しく、時間やコストもかかっている。その理由は彼らの得意先である日本政府の調達ルールを守るためであるという。

手続きや品質管理の手順(プロセス)はあくまでも手段でしかない。だから、それらが目的になると、彼ら自身の最大の敵になる。

ある企業のCEOが役員たちによる朝食ミーティングを東京の高級ホテルで開こうとしたことがある。予約を入れるため、電話をかけたところ、そのホテルのスタッフは、会場となるレストランが予約をとらないようにしていることを理由に、予約を断ったのだ。

そのホテルにはレストラン以外にも朝食ミーティングができる場所はあった。だが、スタッフはそのことを思いつかず、「レストランは予約をとらない」というルールを順守した。

幸い、ホテルのマネジャーが問い合わせに気づき、便宜を図った。しかし、マネジャーが気を利かせなかったら、このホテルは顧客を1社失っていただろう。

日本企業だけでなく、海外の企業にも、プロセスを守ることを目的としている事例が多くある。そのような企業では、顧客の利益になることは後回しにされるか、ひどい場合には一顧だにされない。

消費者向け製品を販売する欧州のある企業では、予想を上回る数の注文が法人顧客から来たとき、それらを断っていたという。しかも、倉庫に在庫があったときでも注文を受け付けなかったそうだ。これは、プラスマイナスに関係なく、予測が外れると営業担当者に生産部門から文句が来るような仕組みになっていたからだ。

このルールは生産設備の効率的な運用と在庫の削減を目的としていた。だが、ルールを守ることを優先させたため、せっかくの注文を断るような状況に陥ってしまった。CEOはこれに気づき、社員の考え方やルールを変えるべきだと考えるようになった。

プロセスは代替可能であり、マネジャーやスタッフが様々なオプションの中から、最適な結果を導き出せると判断したものを選ぶべきものなのだ。そして企業のビジネスに関する考え方がプロセスより優先されなければならない。

あなたの企業では、プロセス主導の考え方で回っている部分はありませんか。商機を失っていたり、成長の可能性を制限してしまってはいませんか。もし、心当たりがあるのなら、自社の指針や社会での使命を明確にする必要がある。あなたやあなたのスタッフは、自社の指針や使命を明確に示すことができますか。

[日経産業新聞2018年2月14日付]

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