2018年8月18日(土)

持続的賃上げの基盤を労使で

2018/2/12 23:14
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 賃金が依然として伸び悩んでいる。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、物価の影響を除いた働く人の正味の購買力を示す実質賃金は2017年通年で、前年比0.2%減と2年ぶりのマイナスになった。デフレ脱却に向けて賃上げは一段と重要になる。

 名目賃金にあたる現金給与総額は4年連続で増えたが、17年の伸び率は0.1ポイント低下の0.4%にとどまった。賃金が増えて消費が拡大、企業の生産活動が活発になり、それがまた賃金上昇や雇用増につながるという「経済の好循環」をつくり出せていない。

 12年12月から、「いざなぎ景気」を超える戦後2番目の長さの景気拡大局面が続いている。そのなかでも賃金の伸びが低調な理由としては、グローバル化や第4次産業革命を乗り切れるだけの競争力があるか不安な経営者が多いことや、企業の社会保険料負担の重さなどが挙げられよう。

 高齢化が進むなかでも社会保障の費用を膨張させないための改革は政府の責務だが、企業の競争力向上は経営者の本来の仕事だ。

 今春の労使交渉では、春の賃上げのほかに企業の成長力を高めるための議論も深めるべきだ。企業の持続的成長の道筋を労使で共有すれば、今春の賃上げにも弾みがつくのではないか。

 企業は技術革新などの環境変化に応じ、機動的に事業を再編成することが不可欠になっている。新事業の創造にも不断に取り組む必要がある。社員の能力開発の充実や成果重視の処遇の浸透は労使にとって優先度の高いテーマだ。

 外国人材を採りやすくするためにも実力本位の処遇は欠かせない。短時間勤務など女性や高齢者が働きやすい環境整備も急ぐ必要がある。女性管理職を増やすには長時間労働の是正が欠かせない。

 上場企業は18年3月期に過去最高益となる見通しで、収益力の上がった企業には積極的な賃上げを期待したい。あわせて中長期の視野に立ち、継続的に賃金を上げていく基盤づくりが求められる。

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