2018年2月23日(金)

春秋

春秋
2018/2/10付
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 平昌五輪のフィギュアスケートは午前中に始まる。巨額の放映権料を支払う米NBCの要望で米時間のゴールデンタイムに中継するためだ。選手は試合前の食事や練習時間を考慮し、未明に起床する。体内時計の調整が勝敗に響く。スポンサーファーストゆえの苦労だ。

▼米国の視聴者は恵まれているな、と思っていた。が、実はそうでもないらしい。早稲田大学のリー・トンプソン教授が昨年、日本スポーツ社会学会の研究誌に寄稿したNBCの五輪放送を分析した論考を読み、認識を改めた。多くのスポーツ愛好家が、CMの過剰さや番組の編成方針にストレスを感じている、というのだ。

▼競技に関心が薄い層の視聴率を上げるため選手がいかに試練を克服し、栄冠を勝ち取ったのかという「人情話」を放送する傾向が顕著という。競技そのものに集中したい視聴者を中継専門の有料放送に誘導し、収益を最大化する戦略らしい。「株主に対し義務がある」というNBC幹部のコメントが論文で紹介されている。

▼こうした五輪放送への不満をまとめるツイッターのハッシュタグ「#NBCFail」がこの時期、全米で盛り上がると聞いた。さっそくのぞくと、こんなつぶやきがあった。「NBCと北朝鮮の国営放送。どこが違うの?」。需要に合った番組が提供されぬ共通点を皮肉った。独占も独裁も、過ぎれば不幸ということか。

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