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越境EC支援サービス成長 小さな店も世界で商売

先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

インターネットの普及が国境の壁を低くしたという考え方が広がっている。そんななかで最近活発になっているのが「越境EC(電子商取引)」である。

剣道の防具も越境ECで海外から注文がくる商品という

35年ほど前、筆者が中学生の頃、雑誌「ビーパル」でメールオーダーという言葉を初めて知った。紙のカタログをもらい、そこから郵便で外国為替などを使って注文をするというサービスだ。

筆者は当時、アウトドアメーカーのLLビーンにカタログをほしいと必死に手紙を書いた。「日本の中学生で釣りが大好き」と。数カ月後、カタログと一緒に大量のフライフィッシングの道具がプレゼントとして送られてきた。アメリカのメーカーの心の大きさに大感動。大学生になり、メールオーダーで大量に買ったのは良い思い出だ。

そんな国境を越える買い物も、今はネットで非常に簡単にできるようになった。事業者側から見れば、日本の中小店舗でも海外に売れる環境が整っているということだ。

模型販売のDAMEYA-NETでは、越境ECとしてドイツ・フランス・スウェーデンなどから戦車や飛行機の模型の注文が来るとのこと。ただ中小店ではこうした注文に対する配送などの対応はたいへんそうだ。そんなサービスを一手に引き受けるサービスも成長している。例えばジグザグ(東京・渋谷)が提供するワールドショッピング・ビズである。

「10年ほど前、海外サイトで買い物しようとしたら、日本向けの配送に対応しておらず購入を諦めた。『インターネットにも国境があるのだな』と不満を覚えたことが起業の原体験」。仲里一義代表は話す。現在、全世界125カ国・地域に対応。英語や中国語をはじめ言語対応も豊富だ。

最短1日で中小企業の自社サイトが越境ECに対応できるようになるという。海外からサイトにアクセスすると自動的に多言語での案内と料金、海外ユーザー専用のショッピングカートが表示され、クレジットカードのほか、ペイパルやアリペイで決済が可能だ。

海外ユーザーの購入代行や海外配送も担う。ジグザグは手数料として購入費用の10%や海外送料を海外ユーザーから受け取る。ECサイトからは初期費用約3万円と年間利用料2万円を得る。現在Cチャンネルショッピングや女性下着のピーチ・ジョンなどが同社のサービスを活用しているという。

仲里代表が教えてくれたのだが、越境ECの売れ筋は面白い。日本は中古楽器の宝庫だそうで、石橋楽器では全世界からギターやエフェクター、トランペットなどの注文があるとのことだ。

漫画全巻ドットコムでは、日本のマンガが世界のマニアや駐在する日本人に売れているという。京都・東山堂では剣道の防具がアメリカ、カナダ、オーストラリア、台湾に売れ、激安釣具店のキャスターハウスはラトビア、ポルトガル、ロシアなどから注文が入るそうだ。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

ネットでつながっていれば、どこの国から買っても気にしないという人が増えているのだろう。それだけ越境ECが世界で身近になった証だ。「2020年の東京五輪の年には4000サイトを支援し、売り上げ100億円を目指す。世界中の『欲しい』に応えたい」。仲里代表は意気込む。

これまでこの狭い日本だけで商売をしていた人も、全世界をマーケットとして考えて行動できる時代になった。もちろんまだ規制や関税もあるが、少なくとも筆者がかつてLLビーンを通して感じた興奮を、今はネットの力で世界中の人々が感じているのだろう。

筆者が売れるものといえば、これまでに執筆したいくつかの著書。さてさて筆者の著書は国境を越えてくれるか。

[日経MJ2018年2月12日付]

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