2018年8月21日(火)

大学入試の透明性を高めよ

2018/2/6 23:28
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 大阪大学と京都大学で、昨年の入試の出題ミスが相次いで発覚した。追加合格や学科変更などの対応は、合否発表から1年近く後になった。受験生の不利益を考えると事態は深刻だ。解答例などの早期公表が望まれる。

 大学の一般入試は、1点刻みで受験生を選別する相対評価だ。人気が高い難関学科の個別試験では、当落ライン上の1点が多くの受験生の合否を分ける。ミス発覚後、両大学で追加合格になった受験生は47人にのぼった。

 出題ミスへの対応が遅れる原因は、作問・解答の点検を大学内部だけで実施し、解答例を公表していない点にある。林芳正文部科学相は、解答例の開示を大学に求めるなど再発防止に向けたルールを作る方針を明らかにした。

 そもそも大学経営において、入試は法的にどう位置づけられているのか。文部科学省は学校教育法施行規則を改正し、(1)卒業時の学生の学力(2)それを達成するための授業方針(3)そのためにどんな学生を受け入れるか――の3方針を策定、公表するようすべての大学に義務付けた。

 つまり入試とは「入学者受け入れ方針」(アドミッション・ポリシー)を実現するための手段だ。入試問題と解答例の公表は、各大学が受験生に求める能力や意欲を広く社会に伝える役割も果たす。

 入試ミス対策で解答例を渋々公表するという発想ではなく、むしろ大学の方針を発信する機会と前向きにとらえるべきだ。それが大学と高校以下の教育の円滑な接続を目指す改正規則の趣旨だろう。

 論述など一律に解答例を示せない設問もある。だが、出題意図や評価の観点を示すことは可能だ。入試後、速やかに各大学が公表するよう努めたらどうか。

 質の高い入試問題は、それ自体が大学の知を創作的に表現した著作物だ。解答例も含め社会に公表することは、教育的な意義もある。作問や解答の点検を担当する教員の負担軽減や、支援態勢を整える対応も必要だ。

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