2018年11月14日(水)

名門ゼロックス買収の教訓

2018/2/1 23:07
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世界で初めて普通紙複写機を実用化したことで知られる米ゼロックスが、富士フイルムホールディングスの傘下に入ることになった。ゼロックスは米国を代表する名門企業のひとつで、傘下のパロアルト研究所はパソコンの原型を世に送り出したことでも有名だ。

だが、近年は成長戦略を描ききれず、「モノ言う株主」からの攻勢にもさらされていた。過去に華々しい成功を収めた企業でも事業の新陳代謝に失敗し、デジタル化の波に対応できなければ、独立した企業として立ちゆかなくなる。そんな市場競争の厳しさを映し出す買収劇である。

ゼロックスのつまずきの石は多角化の行き詰まりだ。主力の事務機市場が成熟化し、日本メーカーの追い上げも受ける中で、1980年代以降、コンピューターや保険・金融事業に力を入れたが、どれもモノにならなかった。近年も停滞が続き、売上高は過去5年間で25%以上減少している。成長力不足は誰の目にも明らかだ。

今後の注目点は3つある。ひとつは、今回の買収についてのゼロックスの株主からの承認取り付けだ。これまでゼロックス経営陣に退陣を求めてきたモノ言う株主の反応が注目される。

ふたつ目は、仮に買収が成立したとして日本側がしっかりとゼロックスを制御できるかどうか。同社の名門意識の強さは、東芝が買収したもののコントロールしきれなかったウエスチングハウスに通じるものがある。富士フイルムの子会社統治能力が問われよう。

最後に成長戦略だ。今回の買収を主導する富士フイルムの古森重隆会長は社内に蓄積した技術資源を液晶材料や化粧品などの新分野に振り向け、主力だった写真フィルム市場の急激な縮小という危機を乗り切った実績がある。

このときと同様に、ゼロックスが蓄積した技術や人材、顧客基盤をうまく活用して、新たな成長市場を切り開けるかどうか。人員削減などリストラ頼みの利益底上げだけでは、少しさみしい。

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