2018年7月18日(水)

この改定では介護保険の未来が危うい

2018/2/1 23:07
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 政府は介護サービスの公定価格である介護報酬を4月に改定する。介護保険制度を安定的に維持するには、メリハリをつけながら総額の伸びを抑えることが欠かせないが、一連の見直しはあまりに踏み込みが足りない。団塊世代がすべて75歳以上になる2025年に向け、一層の改革が要る。

 介護報酬は事業者の経営状況などを勘案して政府が3年ごとに見直している。医療の診療報酬改定は2年ごとで、18年度は6年に1度の同時改定の年だ。医療職の人件費などに充てる診療報酬本体は0.55%増が決まっている。

 介護報酬の総額については0.54%増が決まっていたが、政府はこのほど個々のサービスの具体的な内容と金額も定めた。

 今回の見直しの柱は、利用者の自立支援や重度化防止につながるサービスの後押しだ。リハビリを重視したほか、心身機能の維持・改善で一定の成果を上げたデイサービスに報酬を加算する仕組みも盛り込んだ。

 ただ、今回の加算はわずかだ。どのような介護サービスが効果的なのか。実践と研究を積み重ねることで、幅広く改定に反映していく必要がある。

 介護費用の膨張を抑える策は不十分だ。特に問題なのは料理や掃除などを手伝う訪問介護の生活援助だ。担い手を増やすため資格要件を緩和するが、それにともなう報酬の減額は45分以上でも20円。サービスの過剰利用を防ぐ対策も始まるが、効果は未知数だ。

 介護の総費用額は制度創設時(00年度)の3.6兆円から17年度は10.8兆円に増えた。25年度には20兆円との推計もある。

 介護職員の処遇を改善し人材を確保するのにも費用がかかる。真に必要な人に質の高いサービスを届けるためにも、制度の根幹に切り込んでいくべきだ。

 第一に、公的な保険でカバーする範囲と自分で負担してもらう範囲を改めて見直すべきだ。たとえば生活援助では、軽度者を給付対象から外すべきだろう。

 国民の負担を増やす議論も避けては通れない。今は保険料を払うのは40歳からだが、これを20歳以上に広げるのが一案だ。低所得者に配慮しつつ、利用者の自己負担を上げる方法もある。

 負担は軽いままサービスは手厚い。そんな魔法の処方箋はない。国民の理解を求め、改革を実行するのは政治の責任だ。

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