2018年12月10日(月)

針路より実績を強調したトランプ演説

2018/1/31 23:30
保存
共有
印刷
その他

トランプ米大統領の初の一般教書演説は、針路を示すというよりは、好調な経済を背景に政権1年目の実績を誇示する内容だった。秋の中間選挙に向け、支持層をつなぎとめる狙いのようだ。この手法で自らが深めた国論の分断を埋められるのか。難しい政権運営を余儀なくされそうだ。

「安全で力強く、誇りある米国を建設する」。今回の演説のキーワードはこれである。

中南米から押し寄せる移民、製造業の没落、職を失った白人に急増する麻薬中毒や自殺。こうした社会問題がトランプ政権を生み出したのは間違いない。

トランプ氏は失業率の低減や賃金の上昇、さらに大型の法人減税で起業が増えているなどと力説した。「米国の新しい時代が到来した。アメリカンドリームの実現に最高の時だ」と訴えた。

ただ、さほど新味があったわけではない。1兆5000億ドル(163兆円)規模のインフラ投資を表明したが、1年前の施政方針演説で打ち出した1兆ドル投資の多くは言いっ放し。演説直前の会合で「おそらく1兆7000億ドル程度になるだろう」と語るなど財源も投資計画も定かではない。

ダボス会議でほのめかした環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰には言及しなかった。

景気は企業の投資マインドに左右されがちとはいえ、トランプ流の楽観論で米国が再び偉大になれるのかは不透明だ。

新たな方向性を打ち出すかと見られた不法移民対策は「米国第一でなくてはならない」と述べるにとどまった。

対外政策では、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討が一定の成果を上げたことを例示し、「力の外交」の重要性を強調した。与野党に国防予算の増額を要請した。

1年前は触れなかった北朝鮮にかなりの時間を割いた。核・ミサイル開発が米本土の脅威になりつつあることを指摘し、「われわれは最大限の圧力を掛け続ける」と力説した。

北朝鮮の脅威に直面する日本としては心強いが、トランプ政権の内情は必ずしも一枚岩ではないようだ。演説直前に次期駐韓大使人事をめぐるごたごたがあった。

トランプ氏は「米国第一」を訴えつつ、同盟国は重視する姿勢も示した。安倍晋三首相との連携に期待したい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報