2018年10月16日(火)

日中の信頼醸成へ根気強く課題解決を

2018/1/30 22:48
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河野太郎外相が就任後、初めて中国を訪問し、李克強首相、王毅外相らと会談した。両国間の意思疎通は徐々に活発化している。李首相が来日する日本での日中韓首脳会談に向けた調整が始まったことを歓迎したい。

今年は日中平和友好条約の締結から40年だ。これを機に日中韓首脳会談を開き、日中両首脳の相互訪問にメドを付けたい。10年前には当時の胡錦濤国家主席が来日した。習近平国家主席は5年前の就任以来、一度も来日していない。

安倍晋三首相は中国主導の新シルクロード経済圏構想(一帯一路)を巡る第三国での協力を提起。まず自らが訪中し、習氏の来日に道筋を付ける考えも示している。

世界2、3位の経済大国である隣国首脳が互いに訪問し、意見交換する枠組みは重要だ。両国民のメリットも大きい。安全保障面では北朝鮮の核・ミサイル問題が喫緊の課題である。カギを握る中国との意思疎通は重みを増す。

半面、課題も山積する。河野氏は今回、王毅氏に中国の原子力潜水艦が尖閣諸島(沖縄県)の接続水域を潜航したまま通過した問題で抗議し、再発防止を訴えた。偶発的な衝突につながりかねない中国軍の行動は看過できない。

気になるのは、中国の公船を運用する海警局が緊急時には軍の指揮下に入ると見られる点だ。海警は海上警備を担う武装警察が設立母体の一つである。改編前の武装警察は国務院(政府)の公安省と軍最高意思決定機関の中央軍事委員会から二重の指揮を受けていたが、運用主体は公安省だった。

ところが今年から中央軍事委の直轄となり、軍トップの習主席が先に部隊旗を授与した。場合によっては習氏が直接、尖閣付近を航行する中国公船の指揮権を持つ可能性がある。

日本側は海上自衛隊とは無関係の海上保安庁の巡視船が対処してきた。緊急時に軍事委直轄の中国公船が動くなら、それは「準軍事行動」になり、一触即発の事態も考えられる。日本側はこの問題をきちんとただすべきだ。偶発的な衝突を防ぐ日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期の運用開始も大切である。

日中間の信頼醸成は簡単ではなく、多くの障害がある。6年前には中国で多くの日本企業が反日デモの標的になった。今こそ障害を一つ一つ取り除きながら、根気強く地ならしをすべき時である。

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