2018年7月22日(日)

都市部の農地を守るために

2018/1/30 0:31
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 大都市の市街地にある「生産緑地」に対し、新たな税制優遇措置が決まった。企業やNPOに貸与する場合でも相続税の納税を猶予することが柱だ。都市部の農地を守るうえで一歩前進だろう。

 生産緑地とは、30年間にわたって農業を続けることを義務付けられる一方で、固定資産税の減免や相続税の納税の猶予を受けられる農地のこと。三大都市圏を中心に全国に約1万3千ヘクタールあり、東京、大阪、埼玉の順に多い。

 制度が始まったのは1992年で、4年後には全国の生産緑地の約8割が30年を迎える。指定の切れた農地の多くが一斉に宅地になれば地価や住宅市場に大きく影響するため、「2022年問題」として話題になっている。

 現行の制度でも10年間は指定を延長することが可能だ。ただ、農業を続けることが前提なので、後継者のいない農家は延長をためらっている。都市部の農家の大半は零細な事業者だ。

 今回の税制改正では、営農計画を市町村に認められた企業やNPOに農地を貸すときも納税を猶予する。後継者がいない人も農地として保有し続けやすくなる。

 都市部の農地は今では貴重な緑の空間だ。災害時の避難場所としても役に立つ。市民農園などの形で地域住民の交流の場になっている農地も多い。

 空き家は都市部でも増えている。農地の無秩序な転用で賃貸住宅などに変われば、古い住宅がさらに空き家になるだけだろう。

 一方で、都市部の農地の現状をみると、生産緑地に指定されているにもかかわらず何も栽培せず、雑草が生い茂っているような場合がある。これでは単なる納税逃れにすぎない。

 自ら農地として活用する場合でも、第三者に貸与する場合でも、指定を延長するときには行政がしっかりと事業計画を確認することが欠かせない。

 周辺で暮らす都市住民が必要性を感じてこそ、農地として維持できることを忘れてはならない。

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