2018年12月16日(日)

仮想通貨取引所の安全性を再点検せよ

2018/1/30 0:31
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仮想通貨の国内大手取引所で外部からの不正アクセスによって約580億円相当の仮想通貨が流出する大規模トラブルが発生した。仮想通貨の取引は世界的に急増しており、日本は最大の市場だ。取引の安全性や透明性を担保するための再点検が不可欠だ。

流出が発覚したのは大手取引所コインチェック(東京・渋谷)。同社が約26万人の顧客から預かっていた仮想通貨「NEM(ネム)」のほぼ全額が流出した。

千種類以上ある仮想通貨は流通額首位のビットコインが最も有名だが、NEMは時価総額で10番目前後の人気通貨の一つだ。

ネット上で流通する仮想通貨を扱う取引所はハッキングなどの攻撃に常にさらされる。にもかかわらず、コインチェックは顧客の資産を保護する基本的な防御システムに不備があった。とりわけクレジットカードの暗証番号に相当する「秘密鍵」の分散管理がおろそかで、巨額流出につながった。

金融庁は同社に業務改善命令を出し、原因究明や再発防止策を求めた。だが顧客への補償の詳細や時期は未定だ。対応次第では仮想通貨全般への信認低下につながるのは避けられまい。

仮想通貨の取引が盛んな日本で取引所をめぐるトラブルは初めてではない。2014年には当時の取引所最大手「マウントゴックス」が経営破綻し、経営トップの刑事事件に発展した。この反省を踏まえ政府は17年4月に改正資金決済法を施行し、世界で初めて取引所に登録制を導入した。

だが今回の事態で新制度の盲点も浮かんだ。これまで審査を通過した登録取引所は16社。法施行前から存在しているため審査に合格していなくても営業を続けている「みなし登録業者」も、なお残っている。派手な宣伝に注力し有力取引所に浮上したコインチェックは「みなし」のままだった。

金融庁はすべての取引所にシステムの再点検を求めるとともに、いつまでも審査に合格できない業者に対しては退出をふくむ厳しい措置を検討すべきだ。投資家の保護や情報公開などで民間主導の自主規制の強化も求めたい。

仮想通貨の多くは投機の対象となって乱高下している。IT(情報技術)を活用して生活の利便性を高めるという当初の期待は、実現していない。取引の安全さえ確保できないようでは、いつまでたっても市民権を得られない。

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