2018年9月19日(水)

パイロット不足を克服しよう

2018/1/28 0:09
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 右肩上がりの訪日客は日本経済の成長エンジンの一つだが、思わぬ制約要因が立ちはだかるかもしれない。パイロット不足が原因で、旅客需要を満たすだけの「空の足」が確保できなくなる恐れだ。官民挙げた対応が急務である。

 航空需要の拡大を背景として、パイロット不足は世界的な広がりをみせている。欧州では格安航空会社(LCC)のライアンエアーが昨年、大量の運休に追い込まれた。国内でもAIRDOが昨年11月に続き、2月にも羽田―新千歳便の一部を運休する。

 日本ではこれまでバブル期に大量採用された乗務員が退職する2030年前後にパイロット不足が顕著になるとみられていた。だが、訪日客の急増で、危機は前倒しで到来する気配である。

 なかでも切実なのは、大手航空会社に比べ、パイロットの育成機能の弱い新興企業だ。3年前には日本初のLCCであるピーチ・アビエーションが大量欠航を余儀なくされた。LCCはアジアの中間層と日本を結ぶ重要な空の足であり、事態を放置できない。

 乗員確保に第一に責任を負うのは航空会社だ。ピーチの井上慎一最高経営責任者は「先行投資を惜しまず、自前でパイロットを育てる体制をつくりたい」という。

 1人の機長を養成するには10年かかるといわれる。将来を見すえた的確な採用・育成ができるか、経営者の力量が問われる。

 政府や教育機関の対応も必要だ。独立行政法人の航空大学校が来年度から定員を増やすのは時宜を得た措置といえる。自衛隊出身のパイロットが民間機に円滑に転身できるような環境整備も政府の仕事だ。私立大学のパイロット養成講座の拡充も検討に値する。

 今の飛行機の運航は機長と副操縦士の2人体制が原則だが、かつては航空機関士や通信士もコックピットに乗り込んだ時代がある。安全性確保を大前提としながら、自動運航などの新技術の導入による1人体制の実現も長い目で見た研究テーマだろう。

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