2018年10月20日(土)

相続制度の見直しを機に自らも備えを

2018/1/27 1:16
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相続制度を大きく見直す案を、法制審議会の部会がまとめた。政府は今国会に、民法などの改正案を提出する方針だ。時代に合わせた法改正は当然だが、私たち一人ひとりも相続を自らの課題と考え早くから備える必要がある。

改正の最大のポイントは配偶者の生活を安定させることだ。

故人が残した自宅について、所有権とは別に「配偶者居住権」を新設する。この権利があれば、別の人が所有権を取得しても配偶者は住み続けられる。

また、結婚20年以上の夫婦で自宅の生前贈与などを受けた場合は遺産分割の対象から外す。

高齢期の住まいは安定した生活の基盤だ。改正により、配偶者は預貯金などの分配を現状より多く受けられるようにもなる。この趣旨に沿って、必要な税制の見直しも進めてほしい。

改正案では、介護などで故人に貢献した相続人以外の親族が、相続人に金銭を請求できる仕組みも設ける。たとえば息子の妻が義父母の介護に尽力した場合だ。労に報いる方向は妥当だろう。ただ、それが特定の親族への介護の押しつけになってはいけない。

今回の見直しはもともと、婚外子の相続を差別する規定を最高裁が違憲としたのがきっかけ。法律婚を保護すべきだ、との声が自民党などで高まった。議論は長期にわたったが、国民の声も丁寧に聞くなかで穏当な内容となった。

ただ、これらはいずれも法律上の配偶者や親族が対象だ。法律婚ではなく、あえて事実婚を選んだカップルは対象外となり、課題を残した。家族のあり方は時代により大きく変わる。多様化に即して今後も検討が欠かせない。

税制をふくめ相続の制度は複雑だ。政府は改正の意義を分かりやすく国民に説明し、トラブルの発生と長期化を少しでも防ぐべきだ。同時に、国民一人ひとりの心がまえも問われる。

高齢化にともない年間の死亡者数は130万を超えるようになった。だれも死と相続に無縁ではない。「まだ先のこと」「うちは大丈夫」などと考えて遺言を書かない人は多い。現実には多くの“争続"が生じている。

遺言で本人の意思が明確に示されていればトラブルを減らせる。元気なうちに用意するのが当たり前であっていい。今回、自筆証書遺言を法務局で保管する仕組みもできる。しっかり生かしたい。

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