街歩きを古地図でエンジョイ、大手集結でアプリ開発
先読みウェブワールド (山田剛良氏)

2018/2/1 6:30
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「ブラタモリ」のヒットなどですっかり定着した街歩き。地形や土地の由緒を訪ねて歩く趣味を支援するスマートフォン(スマホ)アプリの新顔が昨年12月に登場した。名前は「大江戸今昔めぐり」。都内の現在の地図と、江戸末期・安政の地図を重ね合わせて表示できる無料アプリだ。

古地図のデータは現在の地図や航空写真とも比べられる

古地図のデータは現在の地図や航空写真とも比べられる

注目するのは開発参加企業の顔ぶれだ。ジェイアール東日本企画やJAFメディアワークス、フジテレビジョンなど意外なほどの大手が組み、製作委員会方式をとった。

「『一緒にやりませんか』と声がけしたら、みなさん二つ返事で」と話すのはビーマップのナビゲーション事業部の開元聡事業部長。今回の開発を主導した。

アプリのキモは江戸時代の地図を現在の縮尺で描き直した「復元古地図」だ。イラストレーターの中川惠司氏が4年の歳月をかけてコツコツ作ったこの古地図があったから、グーグルマップの現在の地図と重ね合わせて自在に表示できるアプリにできた。自分が今立っている場所や勤めている会社や著名な建物などがある場所が、江戸時代はどうだったかがすぐ分かる。「土地の縁を視覚的に理解できて、街歩きの楽しみも増す」(開元氏)とみる。

「『鬼平犯科帳』など時代劇の登場人物の家を探すといった楽しみもある」と、製作委員会のメンバーであるフジテレビのコンテンツ事業センターの野村和生氏が言葉を添える。開元氏とは以前から付き合いがあり、1年ほど前に別件でたまたま会ったときに計画を打ち明けられた。すぐに参加を決めたという。

集まった製作委員会のメンバーは野村氏も含めて皆、もともと古地図や街歩きが大好きな人物がそろっていた。「会議はあれもこれもと『やりたいことリスト』が膨れあがって困ったくらい」(開元氏)。皆、既存の古地図系アプリに不満があったのだ。

不満の中で大きかったのは古地図と現在の地図の照合が難しいこと。これは中川氏の復元古地図のデータを使い、境界部分などを丁寧に調整して解決のメドをつけた。古地図と現在の地図を切り替えられるだけでなく、片方を透過表示できるので一目で見比べられる。

「画期的なのは航空写真と見比べもできること」(開元氏)。古地図の特定の場所が今どうなっているか、地図よりダイレクトに分かる。面影が残っていそうな場所の目星をつけやすいという。

史跡や神社、江戸百景などの3000カ所以上のスポットを設定。解説情報を埋め込んですぐ読めるようにした。「製作委員会のメンバー企業で手分けして入力した」(開元氏)。実はこの機能には、製作委員会のメンバー企業がこのアプリを自社のビジネスなどにつなげる狙いがある。

次回以降のアップデートで、利用者に複数のスポットへの訪問を促す「スタンプラリー」機能を実装する予定だからだ。特定のエリアのスポットを回るとクーポンがもらえるなど、人を誘導するシカケに使えるのだ。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン副編集長。京都府出身、50歳

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン副編集長。京都府出身、50歳

復元古地図のデータそのものを事業者に提供するビジネスも検討中だ。古地図のデータをインターネット経由ですぐに引き出せる環境を用意する。例えば、家を建てる時などに「土地の由来」を気にする人は多く、不動産会社などが興味を持つかもしれないという。

現在は3月を予定するアップデートに向け準備を進めている。スタンプラリー機能だけでなく古地図の提供エリアも広げる。現在は「朱引き」と呼ばれる江戸幕府が決めた「江戸」の範囲だが、今後は東京23区内までに広げる予定だ。「朱引きの外はほとんど田か畑。それでも自分の家の場所が昔どうなっていたか知りたい人は多い」。野村氏は説明する。

「まずは古地図好きの心をつかみたい」と開元氏。街歩きの魅力アップと収益化へ夢が膨らむ。

[日経MJ2018年1月29日付]

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