2018年10月20日(土)

憲法に名記す習主席は真の政治改革を

2018/1/24 23:19
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中国は14年ぶりに憲法を改正し、「習近平思想」を書き込む。共産党の方針を受けて、3月に全国人民代表大会が決定する。世界第2位の経済大国で習近平国家主席への権力集中が一段と進む事態が、アジアと世界にどのような影響を及ぼすのか注意が必要だ。

中国では共産党が事実上の一党独裁体制を敷き、国家のあり方も決める。まず共産党大会で「習近平思想」を党規約に盛り込み、後に改憲に動くのはこのためだ。9千万人の共産党員が守るべき党内規約は、14億人近い人口を擁する国家の憲法より重みを持つ。

共産党規約に続き憲法にも個人名が入るのは、建国の指導者の毛沢東、「改革・開放」政策で経済成長に導いた鄧小平に続き3人目だ。習氏の地位は形の上では2先人に並んだ。前任と前々任の国家主席の胡錦濤、江沢民両氏を執政5年で抜き去ったことになる。

「習近平思想」の中身はなお定かでないが、習氏が主導する新時代の到来を強調する。これに伴う習氏礼賛の動きは気になる。生前に憲法に名を記したのは毛沢東だけだ。共産党は毛沢東を礼賛した文化大革命(1966~76年)で多くの犠牲者を出した反省から、いかなる個人崇拝も禁じてきた。これが有名無実化しかねない。

この5年間、集権が進む傍らで、言論統制も一段と強まったのは看過できない。習政権が強調する法治は、民主主義国家の考え方とは全く異なる。憲法が全ての規則の上位にあり、これに基づき政治を進める「憲政」の考え方は、公式に論じることさえできない。

今回の改憲には汚職取り締まりで強い権限を持つ国家監察委員会の設置も盛り込まれる。今後は習氏が共産党内で集権を進める手段にもなった「反腐敗運動」の網が、非共産党員にも適用される。

共産党は、合計2億人を対象にする新機関の誕生を「重大な政治改革」と位置付けた。これには違和感がある。本来、汚職撲滅に最も効果があるのは、上からの締め付けではなく、選挙を通じた国民による政治の監視だ。

中国では、1990年代から村長らを複数の候補者から一人一票方式で選ぶ「民主選挙」を実施してきた。共産党は、基層での選挙を徐々に大きな行政単位に拡大する方針を示していた。習政権では進んでいない。強い権限を手にした習氏は、今こそ新たな真の政治改革に踏み出すべきだ。

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