春秋

2018/1/24 0:57
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イラク戦争が起きた。韓流ブームでヨン様がもてはやされた。SMAPの「世界に一つだけの花」が大ヒットした。現代史の年表には、2003年の出来事としてこんなあれこれが並んでいる。そうか、あの当時……と少し懐かしいが、ついこのあいだの日々でもある。

▼そのころ生まれた赤ちゃんは、いま中学生になった。世間では、まだコドモだ。ところが、14歳で作家としてデビューした鈴木るりかさんの短編集「さよなら、田中さん」を読めば常識は軽く覆されよう。抜群の描写力。観察眼。軽やかな文体も心地よい。たった14年の歳月にこういう才能が育ったのだから驚くほかない。

▼将棋の藤井聡太四段がプロ入りを果たしたのも、史上最年少の14歳2カ月だった。その後の活躍を知らぬ人はいないだろう。そしてジャンルは違えど、藤井四段とよく比較されるのが卓球の張本智和選手だ。先日の全日本選手権では水谷隼選手を下して王者の座に就いた。14歳6カ月。こちらも堂々たる史上最年少である。

▼30年あまりで幕となる平成時代の、ちょうど半ばごろ生をうけた世代が、早くもとりどりに花開く景色の爽快さよ。人々は平成を沈滞の時代だったと言う。失われた何十年などと嘆きもする。しかしそういう月日のなかにも力強い歩みがあったのだ。ぼやきがちな平成のオトナたちを挑発する、めっぽう若い力ではないか。

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