2018年12月10日(月)

今度こそ信頼できる財政健全化計画を

2018/1/23 22:23
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内閣府は、政府が今夏につくる新たな財政健全化目標の前提になる中長期の財政試算をまとめ、経済財政諮問会議に提示した。

2019年度以降に歳出を抑制しないと、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化の時期は、従来の25年度から27年度に2年遅れる。これは実質2%、名目3%超の成長が実現するケースで、低成長の場合は27年度でも8.5兆円の赤字が残る。

安倍晋三政権は、PBを20年度に黒字化する財政健全化の目標を掲げていた。しかし、首相は昨年秋の衆院選前に、19年10月に予定する消費税率引き上げによる増収分を教育無償化などに回すことを表明し、目標達成も断念した。

首相は今夏に新目標をつくる意向で、今回の試算はその土台になる。新目標では、成長ケースでは27年度になるPB黒字化を、歳出抑制の努力などで、どれくらい前倒しできるかが焦点になる。

首相は10%への消費税率上げを2度延期した。財政健全化の目標も何度も先送りすれば、日本の財政への信認がゆらぎかねない。

内閣府は、見通しの前提になる成長率、物価、金利の見通しも修正した。これまで名目成長率を20年度で3.9%と見積もるなど高すぎるとの批判が出ていた。今回は20年度は3.1%に下げたが、22年度以降は3.4~3.5%となお高い水準だ。17年度の実績見込みは2.0%程度にすぎない。

労働市場改革や規制改革で潜在成長率を高め、経済のパイを拡大することは重要だが、財政健全化には増え続ける歳出の抑制と、消費税率引き上げなど確実な歳入増加が欠かせない。経済成長、歳出抑制、歳入増の3つがそろって初めて財政健全化は可能になる。

新たな財政健全化の目標では、単にPB黒字化の時期を決めるだけでなく、その裏付けとなる社会保障などの制度面に踏み込んだ歳出改革策を盛り込むことが重要だ。高めの成長率見通しと超低金利の継続に頼るのではなく、実現可能な政策に裏打ちされた計画にすべきだ。

財政健全化目標では、PB黒字化より、国・地方の債務残高の国内総生産(GDP)比の引き下げを重視すべきだとの声もある。日銀の金融緩和で金利を低く抑え続けて同比率を改善しようとするならば問題だ。歳出・歳入改革で財政再建を進めた結果として、同比率が下がるのが望ましい。

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