2019年6月18日(火)

春秋

2018/1/23 0:58
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先週、小室哲哉さんが音楽活動から退く旨を表明した。1990年代、かの人のつくる歌は若者、特に女性たちから圧倒的な支持を得た。その理由を新潮社の雑誌「ROLa」2013年11月号で、若手社会学者である古市憲寿さんの問いに応じて自ら振り返っている。

▼バブルの頃までの女性は男性に支えられていた。しかし90年代、女性から「男の人の影」が消える。同性が憧れる自由でたくましい姿を、少し不良な少女を主人公に描いた。そんな趣旨だ。この頃から若者は恋の歌よりも、生きづらさを嘆き、励ましあう歌を仲間とカラオケで熱唱し始める。流れの走りに小室さんがいた。

▼不況ニッポンで若者の心を支えたのが、安室奈美恵さんなどの小室ファミリーやZARDこと坂井泉水さんの歌であり、自由闊達なふるまいがアイドルらしからぬSMAPだった。坂井さんが亡くなって10年がたち、SMAPは解散を余儀なくされ安室さんは引退を表明。そして今回の会見だ。ファンの落胆が想像できる。

▼引き金となった醜聞の背景に妻への介護疲れを挙げた点も広く波紋を呼んでいる。認知症の親の介護で離職する人が増えた。がん患者の家族も心が弱りがちなことから第2の患者と呼ばれる。これら家族のケアはこれまで主に主婦が担い外から見えにくかった。ファンか否かを問わず、一つの問題提起として受けとめたい。

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