2018年6月21日(木)

核燃サイクルを問う機会に

2018/1/18 23:22
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 7月に満30年の期限を迎える日米原子力協定が自動的に延長されることになった。日米のどちらかが改定や破棄を求める場合、期限の6カ月前までに申し入れる決まりだが、両政府ともに見直しを求めなかった。

 協定では、日本が原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すことやウラン濃縮などを認めている。原子力利用を民生目的に限っている日本に特例的に再処理などを認めており、政府と電力業界が進める核燃料サイクル政策の前提になってきた。

 プルトニウムは核兵器の原料になり、米国内には日本のプルトニウム保有が核拡散につながると懸念する声がある。トランプ政権はそうした意見にくみせず、協定の見直しを求めなかった。それ自体は日本にとって歓迎すべきだ。

 一方で、核燃料サイクルの実現は大幅に遅れている。要となる青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場は工事の延期を繰り返し、稼働は早くても3年後になる。プルトニウムを燃やす高速増殖炉もんじゅも廃炉が決まり、次の炉の計画は具体化していない。

 日米協定の延長で、核燃料サイクルにとっては猶予期間が生まれたことになる。その時間を政策見直しの議論にあてるべきだ。

 資源が乏しい日本にとって、ウランを繰り返し使える核燃料サイクル政策をすぐに放棄することはできない。しかし、使用済み核燃料の全量を再処理する必要があるのかや、中間貯蔵施設の位置づけ、高速炉の開発をどうするかなど議論が必要な項目は多い。

 建設の長期化などでコストも膨らみ、再処理だけで約14兆円と見込まれている。費用対効果についても綿密な検証が欠かせない。プルトニウムを既存の原発で燃やす計画を着実に進める必要もある。

 協定は自動延長後、日米いずれかの通告があれば6カ月後に終了できる。米国の政権交代などで失効を迫られることがないよう、日本が政策を明確にしておくことが大事である。

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