2018年7月22日(日)

一見順調そうな中国経済に潜む問題点

2018/1/18 23:22
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 中国の2017年の実質経済成長率は6.9%だった。成長率が前年を上回るのは7年ぶり。目標とした6.5%前後も達成した。昨年は共産党大会を前に拡大した公共投資が寄与したが、今年は減速が予想される。特に不動産に絡むリスクに注意を払うべきだ。

 中国景気をけん引する個人消費は堅調だ。巨大な中国市場を狙う外国企業の投資意欲は旺盛である。輸出も伸び、焦点の対米貿易黒字はトランプ米大統領の批判を受けつつも過去最高を記録した。失業率も比較的低い。

 とはいえ、中国政府が鳴り物入りで旗を振ったはずの供給サイド重視の構造改革、とりわけ生産能力の削減が滞りがちなのは気になる。17年の粗鋼生産は公共投資の増加に伴う市況好転で過去最高になる。この反動は景気後退時に重くのしかかる。

 「社会主義市場経済」を標榜する中国は土地公有制を崩さず、期限付きの使用権を売買している。だが実際には不動産が経済の支え役になっている。中央、地方政府が土地使用権を売り出し、その収入が財政を支える構造である。

 大都市では住宅価格が暴騰した。2、3年で4倍になった地域もある。高学歴の若手夫婦がほぼ一生分の給与をつぎ込んでもマンションを買えない。不動産の活用で得られる収益と無関係な高騰の原因は、今後も値上がりするはずだという期待に基づく投機だ。

 企業などの債務比率の高さも金融リスクを顕在化させかねない。少子高齢化で労働人口は今後、減少に向かう。既に製造業の労働コストの上昇は著しい。長く続いた「一人っ子政策」は転換へカジが切られたが、人口構成を変えるには長い年月がかかる。

 成長の鍵は独自の新技術開発だ。習近平国家主席は人工知能(AI)をはじめ、様々な中長期計画に言及した。注目したいのはプロジェクトを具体化する政府の布陣だ。3月の全国人民代表大会では李克強首相以外の経済、貿易、金融、情報など各分野を担う副首相、閣僚らの人事が焦点になる。

 共産党人事では中央での行政経験に乏しい習氏側近らの抜てきが目立ち、一部であつれきを生んだ。巨大国家の今後を左右する経済の行く手には多くの地雷が埋まっている。その処理では官僚機構を上手に動かす必要がある。習氏側近らを補佐する実務経験豊かな人材が登用されるか注目したい。

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